随筆・湖にもメロデイーやリズムはある
純愛の芦ノ湖から、楽章の湖、琵琶湖まで
芦ノ湖は泣いていた。
霧に包まれて静かに、たおやかに、流れ来るリズムよ、
それは、愛、純愛ゆえに、悲しみは深く、涙さえ止むことを知らず。
霧に隠れるように、包まれるように、ゆっくりと進む遊覧船。
その船の船上に、かすかに見える人の姿よ、あの人にあの人に何処か似ている。
そう思いたい私が、湖岸にいた。
さよならは言わないで、哀愁の湖、諏訪湖よ。
悲しみが深すぎるのは、愛し過ぎた恋ゆえに、
さよならの言葉に変えて、又、逢いにくるよと歌うだろう。
河口湖、ああ、愛おしい乙女のように、歌えば、美しい十代、
あの頃の湖のように音楽は愛されているだろうか。
美しき思い出の本栖湖、あの人も私も愛した慕情の湖。
泣かないで、泣かないで、思い出が美し過ぎるから、語りかけるように、愛を歌おう。
湖は心の故郷、静かなる琴の調べが聞こえそう、三方五湖。
言葉なんかはいらない。
また来たよ、又来るよ、との一言が有ればいい。
三方五湖よ、今日も故郷の歌が聞こえますか。
琵琶湖、古に名こそ残せし、琵琶の湖、妙なる声は流れる。
楽章の湖、琵琶湖。
母の面影、愛を浮かべて、流れ来るメロデイーやリズムも微笑んでいる。
面影は美しく、頬を流れる涙さえ、音楽になるのでしょうか。
母よ、琵琶湖よ、私を見守っていてほしい。
いのち短し、人生は、その短い人生も。
歌や音楽があれば、楽しい。
もう老人の仲間入りをした私が、最近、気付いたこと。
湖にも、メロデイーや音楽はある・・・と悟ったのである。
だから、私は、湖を訪ねる旅人だったのかと、苦笑いしているのである。
節分を過ぎて、立春に、文を書く。
テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術