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短編小説・交換日記はいかがです10

短編小説・交換日記はいかがです10


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あくる日、放課後の職員室。電話が鳴った。
晶子が受話器をとった。
「晶子先生。留美湖です。もう直ぐ、学校に行きます」。
「まあ、有り難う」。
晶子は受話器の前で頭を下げた。
「それで、どう、お母さんとは、まだ、交換日記を続けているの?」。
「ハイ、暫らくは続けようと思います」。
嬉しそうな声。
「まあ、いいわねぇ。私も、交換日記をする相手が欲しいわ」。
「先生、失礼します」。
留美湖も、受話器の前で、頭を下げていた。
夏の陽射しが、やけに眩しい。
今日は、雲ひとつ無い青空である。
麦わら帽子をかぶって、公園に出掛けた。
喜一郎は、何か1つの事をやり遂げた、喜びに浸っていた。
何よりも、彼女が、私に与えてくれた、教えることの喜び。
教えることが出来た喜びが、そこにはあった。
喜一郎といえば、唯の詩歌人に過ぎない。
優れた人物と言うほどの者ではない。
彼もまた、そのことを意識して、彼なりに、勉強もした。努力もした。
留美湖が学校に行くよいになって、一週間が過ぎていた。
友人の孝子とは、以前にも増して、仲良しになっていた。
「留美湖は変わったね」。
と孝子は言った。
さて、何と答えたでしょうか?。
「人は、そう簡単に変われるものじゃないよ」。
「そうだよね。私は私だもの」。
と孝子も言う。
やがて、二人は目と目を見詰め合って笑った。
留美湖は、喜一郎や、晶子先生、母親の佐和湖に、この青空のように、大きく包まれて、守られていることを知ったからである。
その頃、晶子は喜一郎の家を訪ねていた。
古い木造の、瓦葺では無い玄関。
平屋建てではあるが、如何にも名家と思わせるような、凝った作りである。
小さな庭園ではあるが、花に包まれているのである。
喜一郎は、幼少の頃、母の胸に抱かれて、この花園を散歩したものである。
晶子は戸を開けた。まるで、敷居さえも低く、私が出入する事さえ、まるで当たり前のような、雰囲気があった。
「喜一郎さん、私も」。
「私も」。
ちょっと身構える喜一郎。
「私も、交換日記がしたいですわ」。
「だれと?」。
怪訝そうな顔をする喜一郎。
「勿論、決まってますわ。喜一郎さんですわ」。
「私。私とですか」。
「あら、意地悪なこと。私を悲しませないでくださいね」。
喜一郎は、戸惑った。
彼の困った顔が、微笑ましく、また愛おしく思えてならないのである。
彼への、熱き恋心、言葉で伝えきれない弱き心。
由香里さんに奪われてしまった事さえ、自身の罪だと責め続けてきたのである。
「私の思いが、喜一郎さんに伝えきれないの」。
と晶子。
彼女の目から涙が溢れてきた。
喜一郎は、驚きながらも、晶子をこの手で引き寄せて抱きしめた。
拒否しない晶子に、本心を見て取ったのである。
晶子は、抱き締められたまま言った。
「交換日記はいかがです」。





(了)



ご愛読、厚く厚く御礼申し上げます。
新春が、皆様にとって良い年であります様に、お祈り申し上げます。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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