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短編小説・交換日記はいかがです7

短編小説・交換日記はいかがです7


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「先生、手紙ではいけないのでしょうか」。
佐和湖が質問する」。
「手紙ですか」。
喜一郎は、少しの間思案した。
そこで、医学博士、野口英世の母、シカの手紙での逸話を聞かせた。愛情溢れる、母の手紙が、どれ程英世を奮い立たせたでしょうか。
「しかし、手紙は一回限りののことが多い。連続性がない。そこだね、私のいいたいのは」。
と喜一郎。
「連続性ですか」。
佐和湖は半ば納得したように答える。
「お子さんの、悩みや、悲しみが深いほど、それだけ、長い時間を架けてあげることが大切ではないでしょうか」。
理解を求める様に、話をする喜一郎。
「良い結果が出るといいですね」。
佐和湖の顔にさす、薄っすらとした紅。それが、とても美しく、眩しく感じられる、午後の、応接室での、会話だった。


それから少し時が流れた。
喜一郎の元に、佐和湖から手紙が届いた。白い封筒に、墨書した宛名がやけに眩しかった。
喜一郎は、佐和湖の、教養の高さを知った。この事が、事の、大変さを、思い知ることにもなったのである。
先生には、ご苦労の掛けっぱなしで、真に申し訳なく思っています。過日より、御指導頂だきました通り、交換日記を始めましたところ、娘の留美湖に、何か心境の変化が見られるようになりました。
「おはよう。おやすみなさい」。
と言ってくれるようになったのです。忘れていた言葉、忘れ去られた言葉ですわ。
そんな事位ですけれども、私には大変嬉しいことなのです。
先生の言われた通り、愛情を持って接していこうとおもいます。
先生、心にも季節があるのでしょうか。まるで、心の春が巡り来たような、そんなムードさえ漂っているのです。留美湖が始めて、交換日記を書いたのは、喜一郎の家に出入りするようになってから、ほんの暫らくしてから事だった。
作歌に励む様になった時と、同じくしている。
便箋一枚に書かれた内容はといえば、五字で一行、七字で一行、五字で一行、七字で一行、七字で一行。これでは、空間が多すぎるかしら思うほどである。
自作の、和歌なのであろう。
添え書きが有った。(私は、和歌を、敗北者の歌だとは思いたくありません。何故か、私だけが、止まっていたような毎日に、前を向いてあるいて行こうと言ってくれているような気がします)。娘は詩歌に希望を見出したのであろう。だから、私は、敗北者にならない。
娘は、そういいたいんだ。佐和湖は、独自の解釈をしたのである。
そんな、解釈ではあるが、的外れとはいえない。詩歌の奥深さは、察して余りあるものがあるからだ。佐和湖の心は踊った。頬をつたう涙を拭うのである。
娘が、堪らなく恋しく思えるのである。
それは、夕食の支度に掛かる前のことであった。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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白浜砂夫の電子書籍




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