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短編小説・交換日記はいかがです5

短編小説・交換日記はいかがです5


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そして、翌日の午後。時は放課後のことだった。
晶子先生は、喜一郎にお礼の電話をいれた。
「九条さんのお宅ですか」。
「はいそうです」。
と弟子の登美子は応答する。
「喜一郎さんをお願いします」。
登美子は、喜一郎に伝える。
「佐和湖は立派な人ですよ」。
「そうですわねえ」。
確かに、佐和湖さんは、出産を経験し、自らの大病を乗り越え、そして、家庭不和にも見事に解決してきている。立派な母親であり、良く出来た妻というべきであろう。
晶子は喜一郎の話すことが最もだとおもった。
「でも、子供のことになると、どうして、あんなにも、心を乱してしまうのでしょうねえ」。
晶子は苦笑いしながら話すのだった。案外、問題点の、核心をついていると思えるのである。
「不登校という、難問。きっと乗り越えて行ってくれると思うのです。私に、佐和湖の力になるようなことがあるのでしょうか」。
喜一郎は、自分を必要とすることなど有るとは思えなかった。
それでも、晶子は喜一郎にお願いするのであった。
長い長い、電話でのやり取りであった。

その頃、古都留美湖は、どうしていたのであろうか。
「留美湖、上がってもいいかい」。
と川田孝子。数少ない友人である。
留美湖は、戸を開いて階下を覗き見た。
「どうしたのさあ、全然、学校に来なくなったじゃん」。
厳しい視線で留美湖を見詰めている。
「別に、言いたくないんだ」。
そう言ってから、窓から空を見上げている。
「理由もなしに、学校を休めるのか、羨ましいやつだ」。
孝子は冷たく言い放つ。
「分かりもしないくせに・・・」。
「ああ、分からない、分からない」。
これは、孝子の言い過ぎというものであろう。
苦悩とか、辛さ、怒り、惨めさ、というものは、敢えて本人が語らない限り分かるものではない。語ってくれたら、問題は半分、解決したと考えられるのである。
孝子は、室内を見回しながら、生活ぶりを観察してみる。
開かれたままの、国語の教科書が机の真ん中に置かれていた。
「真面目に生きてるじゃん」。
「モグラみたいに閉じこもっている」。
と留美湖。
「先生と何かあったのかい」。
留美湖は首を振った。
「親父と喧嘩したのか」。
留美湖は、又首をふった。
孝子は、三か月前のことを思い出していた。
あの時も、そう二十日ぐらい、学校をサボっていたのだ。たかが、二十日ぐらいの、不登校では済まない。成長期の少年少女にとって、歴然たる差が付くことは間違いない。
友人として、孝子は理解に苦しむばかりであった。
留美湖には、そんな孝子が余計に、煩わしかったのである。母親から、親友の孝子と比較される事も、辛いことだった。
「長くなっちゃ駄目だよ。早く学校に出ておいでよ」。
ため息のような、呻く様な、孝子の声。
「有り難う、良く来てくれたね」。
留美湖は、丁寧に礼をいった。
「友達でしょう、そうでしょ」。
「そうだね」。
良い友達を持つことは、果たして幸福なことなのだろうか。
本音をぶつけられない、そんな、危うさもある。
それが、問題の解決を遅らせる場合もある。
優秀な先生に、成績の上がらない生徒。
学業成績の優秀な友達に、出来の悪い仲良し。
それは、本人達よりも、周りの視線が、心をずたずたにすることがあるからだ。
学校も又、オンリーワンの世界であるべきではないだろうか。
留美湖が、九条の家を訪れたのは、母、佐和湖に背中を押すように、言われたからである。どうして、母があんなに、強くなったのか解からない。
考えられることは、晶子先生に会ったから?それだけでは無いだろう。九条さんという人に会ってから?母とその人は、何を話し合ったのであろう。留美湖を、行動へと決定づけたのは、晶子先生の、職員室からの電話であった。
「九条さんという方が、貴女に会うことを、とても楽しみにしています。是非、会ってあげてくださいね」。
「私に、合いたがっている?」。
留美湖には信じがたい言葉であった。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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