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短編小説・交換日記はいかがです3

短編小説・交換日記はいかがです3


                                        短編小説・交換日記はいかがです1


                                        短編小説・交換日記はいかがです2




その頃、喜一郎は、シンポジウムの席にいた。
『和歌と、日本文学の奥深さについて』と題したこの会合の中で、意見を述べているのである。
教育の中立(性)の必要性を、強く訴えるのである。
これほど、多様な人種と、文化、宗教、言語が存在する世界にあって、法律や、戒律で縛ることは、反って紛争の種になると。むしろ、多様性を認め、権力の介入を認めない、独立した機構に持っていくべきであると、言い切っている。
世界の中の日本にあって、日本文化と教育が、特に秀でたものであったのは、何か。
和歌と共通する民衆主役の伝統の中で、興隆していったからである。
それは、古の平安時代から続いている、暗黙のうちに、文化と教育の中立が保障されていたからである。喜一郎は必死であった。日本の文学を、広く世界に宣揚することを、我が使命と思っているからである。

佐和湖が、放課後の時間帯をねらって、再度職員室に、晶子先生を尋ねた。
進展しない、焦りがそうさせたのかもしれない。
「古都さん、人を育てるということは、梅干を作ることにどこか、にているとおもいませんか」。
「どうして、梅干の話になるのですか」。
「梅干が食べられるのは、二ヵ月後、食べごろになるのは一年先ともいいますから」。
「そうですわねえ、実感していますわ」。
「人を育てるということは、長い目で見守り、互いが切磋琢磨しながら、成長を待つものでしょうねえ」。
晶子は、お茶を飲んで一息いれる。
「私も磨けということですか」。
と念をおすように言う佐和湖。
「私も含めてね。心を磨けということでしょうね」。
「心とは?」。
「何事においてもそうだと思いますが、信(しん)の一言に尽きると思います。人を信じるということは、心を磨くなかで、出来てくるものだと思います」。
晶子は、一途に磨いていくなかに見えてくるものがある。とそう言いたいのであろう。
晶子は彼女との話し合いの中で、一つの解決策を見出したようである。
唯、向上あるのみ。
仏の道(常に前進し続ける生命)とは「これから」、「更に、一歩前に」、と言う気概で進む道ではないだろうか。
さて、晶子はどんな解決策を、みいだすのであろうか。
晶子は、襟を正した。
過日の研修会できいた芸術家の成功談。
一つの道を、唯ひたすらに追い求めていく人生を、語られたのである。
「古都さん、留美湖さんに、一つのことに、徹し切って学んでいくものがあれば、大きな支えになり、また励みになると思います」。
「そうですわねえ、何かが見えてくるかもしおれませんねえ」。
「やがて、それが自信になり、自分らしい発想が出来、自分らしい行動が出来るようになれば、大したものだと思います」。
と晶子。
「先生、私はどうすればいいのでしょうか」。
晶子は、一寸目を閉じた後、
「あの子は、詩を作るのが大変うまいのです。それに、何ていうのか、無視できない、何かを成し遂げてくれるような、そんな期待がするのです」。
と晶子。
「ハア」。
理解に苦しむ佐和湖。
晶子は、喜一郎の面影を浮かべていた。
彼、喜一郎の詩や和歌には、ロマンがあった、情熱がある。
詩歌の道は、ひとの心を美しくする道でもあると、由香里さんから聞いたとき、彼女が羨ましくてしかたがなかった。喜一郎さんの説に、由香里さんも、惚れ込んでしまったのであろう。喜一郎さは、私の運命の人になる、と予感したのである。
あの人顔は、今幸福に満ちている。
まるで私のことなど意識のなかにないようなそぶりである。
それでも良い、そんな喜一郎さんを好きになってしまったのだから。
「晶子先生」。
「ハイ」。
晶子は、我に帰った。
「佐和湖さん、九条喜一郎という、詩歌の先生に会ってみてはいかがでしょうか」。
晶子は、ハッキリした口調で言い切った。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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