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中編小説・天使の君は、輝いているかい???8

中編小説・天使の君は、輝いているかい???8


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さて、好恵はといえば、中学校を卒業後、すぐにというべきか、待っていたというべきか、東京へと出ていった。昼間働きながら、夜はデザイナー学校で学んだ。
あの、細身の好恵がと偲ぶとき目頭が熱くなる。また、どんなに苦しくとも母親は母親だな、思うのである。どう工面しているのか、時々は好恵に、地元の物産や、新品の衣服を郵便で送ったりしていたのである。不遇の好恵に幸運があったとすれば、彼女の作品が校長の目に止まったということであろう。この、女校長こそ、ファッション業界のドンと言われている人物だからである。やがて、もう一つの幸運が訪れるのである。地元静岡出身の実業家、この実業家は、やがて経団連の副会長を務めるまでになるのである。人材王国静岡の草創たる人物といってもよいだろう。この人が資金援助してくれたのである。彼女のパリ留学は、遂に実現したのである。
静岡は良い所ですね。名は体(大地)を表す。その良き大地の一つ、本川根町は、郡の北端に位置する町で、東は静岡市、北は長野県に接している。昭和三十一年、大井川上流右岸の旧上川根村と、左岸の東川根村が一つになって町制を施工したのである。
町は、黒法師岳、光岳、藁麦粒山など、千五百―二戦メートル級の山々に囲まれ、中央を大井川、寸又川、大間川などの大小河川が流下している。良質美味な川根銘茶の産地として知られ、また杉檜などの良材を産し、しいたけ、わさびなどの特産がある。
見所としては、寸又峡と接岨狭の景勝地であろう。
寸又狭温泉は、その深勝の足場として、利用客が多いのである。寸又峡温泉から上流へ二
十分ほど歩いたところに、大間ダムに架かる高さ約十五メートル、長さ九十七メートルの吊り橋がある。その橋の名は、『夢の吊り橋』、という。エメラルドグリーンの湖面を眼下にし、歩道部分に狭い二枚板を繋いで、ただ連結させただけのもので、スリル満点である。恋人たちが、お互いを庇うように、手と手を繋げば結ばれるということもあると言う。春には新緑が、秋には紅葉が優しく微笑んでくれるのである。
有り難う、優しき山河よ、美しき心の故郷よ。とうとう約束の日は来た。
豊と愛子は再会した。
二人が長い歳月を経て心ゆくまで語りあったのは、(夢の吊り橋)、の近くにある展望台であった。
「絶景かな、ああ、絶景かな」。
豊は、大声で言った。
「まあ、先生ったら」。
愛子は吹き出してしまったのである。
思い出の中で生きていた先生に、今ここに居る。
愛子の心は躍っていた。話したいことは一杯有るけれど、ただ、先生が会ってくれただけで、心は救われていったのである。
「豊先生、うれしい」。
と愛子。
「こちらこそ、あなた達を教えていたようで本当は、あなた達から、色々なことを学んだような気がする」。
教えることと、学ぶことは表裏一体なのかもしれない。
最もよく学ぶ人が、上手に教えることが出来るということであろう。
「私達は、先生から多くのこと学んだのですよ」。
と愛子。
「有り難う、こんな先生だったけれど、そう言ってくれるだけで、幸せだよ」。
と豊。
「私達にとって、先生は何時までたっても尊敬する対象ですは」。
「想だろうね。先生という重荷を背負って、その後の人生を生きてきたのだから」。
「私達は重荷になったのですか」。
愛子は寂しそうな顔をした。
「先生は生徒達の、心の故郷でなければならない」。
と言う豊。
「何時でも、山の頂に存在しているようなものですは」。
と愛子は答える。
「それが、重荷なのかもしれない」。
「先生の言葉には、計りしれない深さがありますは」。
「それも、背負う荷物次第だね」。
「まあ、先生ったら」。
「そうだねえ、ウン、愛子が光り輝いていれば、ほんの少し肩が凝った・・・。そういう事かな」。
「まあ、先生ったら、本当に、少しも変わっていない」。
愛子はたまらなく嬉しかった。
「天使の君が、輝いているとき、私は、先生をやらせて貰って良かったと、そう、感謝できるんだよね」。
「天使、私は天使?」。
「そうだよ、神様や、天女様から預かった子供なのだ」。
愛子は理解に苦しむ。
「教え子と言うのは、天女様から預かった、大切な子供なのだ。立派に育ててお返しする責任があるんだ」。
「そうですはね。私達は、何時も先生の心の広さに包まれていたような気がしますわ」。
愛子の目から微笑が見える。良き大人には、子供達が喜んで集って来るように、そして、同じ職業につきたいと、希望する子供も現れるのである。先生も同じなのであろう。
愛子は、地元の教育大学を出て、小学校の先生になった。
愛子にとって、豊先生は遠い過去の存在ではなくなったのである。
愛子には、豊先生への熱き思いがあったけれど、今は相談してみたい事が一杯あった。
その、相談したい子供の名前は、父のない子は北沢良子。母のない子は大原裕次郎。
愛子の教え子たちである。それは、まるで、遠い過去に演じられたドラマの再演なんだろうか?。
愛子も又、思い荷物を背負った人生を生きていくというのであろうか?。豊先生なら、どう対処されるか聞いてみたいと思うのである。
山峡の美しい自然に抱かれて、話が弾んだことは間違いない。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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