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短編小説・女は強く生き抜いて華になる11

短編小説・女は強く生き抜いて華になる11


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時代を越えて、名花はスターであり続ける。その一

さて、三人の話題になっている樋口一葉。
半井桃水からみた一葉はどうであったか。
『非常に年寄りめいて帯も、それに、適当に好み、頭の銀杏返しも、余り濃くない地毛ばかりで
、小さく根下りに結った上飾というものが更にないから、大層寂しくみました。』
ということである。
これを、長谷川時雨から見ると、
『蕗の匂いと、あの苦味。お世辞気のちっともない答えへだ。四月のはじめに出る青い蕗のあまり太くない、土から摘みたてのを、歯にあてると、いひようのない爽やか薫りと、ほろ苦い味を与へる。その二つの香味が、一葉女史の姿であり、心意気であり、魂であり、生活であったような気がする』
と、書きのこしている。
さて、もう一人の一葉フアンである。
「教夫先生、伏見宮孝麿様が見えました」
と、急ぎ応接室に招きいれるのである。
「これは、これは、大伯父様。如何なされましたか」
「うーん。教夫君が、一葉びいきになったと執事から聞いたもんでな」
「ええ。名花は時代を越えて、私たちに語りかけてくれるものがあると思います」
伏見宮は、一葉が、十四歳の時、中島歌子の萩の舎塾に入門して、和歌・和文を学び、やがて、小説は、半井桃水から教えを受けたこと等を語るのである
「十四歳、早熟の天才それとも、師の中島歌子が、優秀であったか」
「両方だ」
一葉は、生活困窮の中で小説家を志し、明治二十五年から、文芸雑誌『都の花』『文学界』『文章
倶楽部』などに寄稿するのである。
明治二十七年暮れから、『大つごもり』『にごりえ』『十三夜』『わかれ道』『たけくらべ』を書きあげる。
「その一葉、二十四歳で亡くなっている。小説が文壇で高い評価を受けるのと同時進行で、死が一葉を襲ったのだ」
「花の命は短くて」
「そうだ。その悲劇性が、またいいのだ。それに、極貧のなかで、よく書き上げたものだ。」
「一葉のこと、益々、好きになりそうです」
「やめておきな。一葉も恋人がいた。半井桃水だ。男前だったし、お前の相手ではない。」
と言って、架か、笑い出す、孝麿様。
これ程、愛された、女流小説家も珍らしい。

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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

tag : 明治 文化 女流作家 文学

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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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