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短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第三楽章『展開提示』1

短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第三楽章『展開提示』1


        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・序曲
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第一楽章『問題提示』1
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第一楽章『問題提示』2
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第二楽章『主題提示』1
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第二楽章『主題提示』2


さて、話題を少し前に戻そう。
期日といえば、2015年、昨年の11月中旬のとある日のことである。
場所ほといえば、滋賀の湖(うみ)・琵琶湖岸に近い長浜市街の喫茶店。
八幡町から中山町の間にある『喫茶・鹿鳴館』である。
この町並みは、小京都、高山の町並みを思い出させる。
面影が愛おしいのである。
もちろん、喜一郎がこよなく愛し、幾度となく訪れ来た町であった。
この喫茶店、今様に名前を変えてしまってはいるが、来店の度に自身の歴史の一ぺージに、加えていったことは間違いない。
「喜一郎さん、お久しぶりです」
と、遅れて来た中山壮一郎が言葉を掛ける。
「いやー、お元気で何よりです」
と、言葉を返し、着席を促す。
この中山総一郎と、最初に会った日は、一詩歌人として作詩・作歌に各地を回っていた頃のことである。
その日の朝、二人は各々の旅館を出て、朝妻の湖岸で知り合ったのである。
二人の会話は弾んで、どちらから言うわけでもなく喫茶店にでも入りましょうか、ということになったのである。
「コーヒーはホット、二つ」
と、ウエイトレスに言う喜一郎。
壮一郎は頭を下げて頷ずいた。
話は弾んだ。
一時間半は、あっという間に過ぎてしまっていた。
壮一郎が語る言葉のなかで、深く心の中に刺さった言葉は、
「ヨーロッパでは、文化人と言われることが最大の勲章であり、宗教の自由を認識している者を一流の文化人と言うのである。それを聞いてからは、一流の文化人と言われるようになりたい」
という言葉であった。
それからは、誰彼ともなく、この話を語るようになっていった喜一郎であった。
二人は、この日を初めとして、年に二度ほどは会っていった。
それは、彼、壮一郎が、ある有名大学の専任講師になるまで続いた。
明治45年7月30日、明治天皇、崩御。
東京朝日新聞は、駿河台のニコライ会堂のセルギー司教へ取材に訪れるのである。
セルギー司教は語る。
「宗教の自由を許し、日本固有の国教とも違うことなく、対せられた先帝こそ、日本のみならず、世界に類なき名君であられたと思います」
亡くなられていたニコライ司教も、常々、感謝の意を述べておられたのであるから、思いは同じであったのであろう。
時代を超えて今、そして未来にまで続いていく、魂の賛歌の夜明けがきたというべきであろう。

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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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