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短編小説・作家の書いた恋のレター13(了)

短編小説・作家の書いた恋のレター13(了)

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そして、また、半月が流れて、正義のペンは快調なまでに進んでゆく。
手を休めれば、瞼に浮かぶのは、父母に連れられて行った保養地軽井沢。
軽井沢は、戦前から別荘地として開けていた。
『落葉松は、いつ目覚めても、雪降りおり』加藤楸邨が軽井沢で読んだ句。
同じ公卿の中で、一条家は、古典・仏教に通じ和歌に長じた。
九条家は、明経の術に長じ和歌・書道にも通じた。
花鳥風月を愛し、移ろいゆく季節の中に、いわゆる、もののあわれを見出し、最近、急速に見直されていた。
生命哲学と言ってもいい、永遠なるものについて、それを、欧米諸国の聖君が、古えの四〜五世紀より語る所、リべラ・ルアーツ、磨かれた高度な教養、それを、平安時代に見出す時、教養としての文学、教養としての雅楽・音楽・琴・ピアノ、教養としての哲学・宗教を目指していたと言えるのかもしれない。
正義が、過日、九条喜一郎に言った所の
「民族の生き残る道は、教養のレベルアップ以外にない」
と言う事になるのだろう。
長く続いた小野寺京子を入れた三人の会話の中で、
「人は争いを好むなら、教養のレベルアップ、教育のレベルアップがよろしかろうと思う」
と、言葉を合わせたのであった。
美しいラブレターの書き方、そこにも教養と感性が必要なのかもしれない。

千原正義、正義は歌う。
歌うは、唱歌、童謡の茶摘み。
日和(ひより)続きの今日この頃を、心のどかに、摘みつつ歌う。
摘めよ、摘め摘め、摘まねばならぬ、摘まにゃ日本の茶にならぬ。
声は流れて、永姫の居る台所にも届いたのである。
すわ、一大事、この大暑で、ご主人様は、頭がおかしくなった。
と、そう思ったのであろう。
ひっくり返した台所のテーブルもその儘に、書斎に駆けつける。
「殿、如何なされましたか」
と、永姫。
言う事も、ポーズも、相変わらず大げさではある。
「なな、何と何と、永姫。よの事を、それ程までに。愛(うい)なやつよのう」
と、切り返す正義。
相も変わらず、大げさな二人である。
正義とはそう言う作家なのだ。
古過ぎるのか、摘めよ、摘ばねば日本の茶にならぬ、と言う歌詞の中に、日本人の意気、心意気を見ると言うのである。
「意気に感じるとは、この事よのう、永姫」
「あら、お殿様、いつから、童謡歌手に変わられたのですか」
「そうではない、そうではない。のう、松平家の御姫様よ、心こそ大切なれなのだ」
「心こそ大切なれって、うーん、鎌倉時代に始まる、何とかの何様の」
と、永姫、指折りながら、時代を求めようとするのである。
「まま、姫よ、姫よ。時代はいいんだ。ハート、ラブ、なんだ」
「それが、大和民族の良き美風とでも」
と、永姫は言いながら、机の引き出しから、北白川麗子から頂いたラブレターの束を見せるのである。
「なにが言いたいのだ」
「頂いた以上のラブレターを送っていますわね。殿は」
「そ、そうだ、それがラブレターと言うもんだ」
と、切り返すのである。
「麗子、麗子、ああ、今は、この世に居ない人」
「この世に居ない人、どうしてそれが姫には分かるのだ」
「私がそうでしたわ。もらったラブレターより、送ったラブレターの数は二倍でしたわ。本当は、もっと、もっと、送りたかった」

「俺も、そうだった。そんな愛なんだ。麗子との愛は」
「二人の愛、愛は、永遠」
と、言葉を合わせた二人であった。





(了)

ご愛読ありがとうございました。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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