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短編小説・作家の書いた恋のレター5

短編小説・作家の書いた恋のレター5


                    短編小説・作家の書いた恋のレター1

                    短編小説・作家の書いた恋のレター2

                    短編小説・作家の書いた恋のレター3

                    短編小説・作家の書いた恋のレター4


何時の頃からだろう、久邇登美子が正義の愛読者になったのは。
登美子とは、同じ公家の出自ではあるが、それを超えて、何と言うのか運命を感じるのである。
時々、感想文を書いて送っている。
ペン字ではあるが、書の道に優れたものがあるように見えるのである。
それは、修養されたものであろう。
さすがに公家の女であると感心せずにはせずにはいられない。
「一番、真面目に生きる者とは」
登美子に尋ねる正義。
「自身の信じる道を、真っ直ぐに生きる人だと思うわ」
「それは、唯一筋の道でしょうか」
「何処か、あなたに似た人生を歩むことよ」
そう言って、微笑む登美子。
一番真面目に生きる者。それが一番美しい。
一番美しい者が、やがて時代を作る力になる。
山岡壮八の語録である。
それは、人格の美しさだと思う正義である。
心に、宇宙大のスケールと美しい人格を持つように成った時、名作は生まれるのか?
「自分は、ほんの駆け出しでしかない」
登美子に語る正義である。
「これからよ」
「そうだね、これからだよね」
登美子は、物静かに、
「たおやかに、ただ、たおやかに」
と、言ったのである。
宮家の血筋を引くと言う久邇家のお嬢様は、何処か神秘的である。
「貴女の聡明さは、清少納言に劣ることはなく、貴女の美しさは、小野小町のようである」
登美子の耳元でささやく正義。
「あら、まあ」
登美子は、顔を真赤にして恥じらった。
少し間があいた後、登美子に向かって、
「私は許されたい。許されたいのです」
正義は叫んだ。
それは、心の叫びなのか。芝居の始まりなのか?
その声に、圧倒されながら、
「許されたい?何を許されたいのですか」
「多感なる、我が心です」
「北白川麗子さんや、私に対してですね?」
問い詰める登美子。
「それもありますが、奪ってしまった時間とか時代です」
美しい、素晴らしい青春時代を、と語りたいのであろう。
「それで、それで」
「恋する人から奪ってしまった価値ある日々」
まだ理解できない、そんな表情をする登美子。
青春時代とは、花も華(この世の華)も萌え出づる時代でもある。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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