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短編小説・砂に書いた漢字1

短編小説・砂に書いた漢字1

<はじめに>
時代は、終戦前後、学校に行けない子供が、同級生から、川の砂場に、その日に学んできた漢字を、砂の上に書いてもらって覚えた、、、という体験者からの取材を元に、執筆したものです。



大谷詩織は、研究室の窓越しから、空を見上げていた。
「大谷先生」
振り向いて見ると、助手の臼井千春さんが、手紙を持って立っていた。
「千春さん、何か」
「先生、また、竹中さんて方からお手紙がきました」
そう言ってから、詩織に手紙を渡す。詩織はこの大学で、教育学部の教授をしている。
初めての女性教授であった。
「あら本当、久しぶりだこと、」
詩織は嬉しそうに封を切る。千春にはよく理解できなかった。
字と言っても、たどたどしい文字、それも平仮名が多く使われた内容、宛名と住所も平仮名がやけに目立つ。
「あら、千春さん。竹中さんの、お孫さんが、今度小学校に入学されるんだって」
詩織は、嬉しくてたまらない。
「先生、その竹中さんて方は」
「尋常小学校の時の同級生ですは」
「あら、本当に昔のことなんですねえ」
詩織、感慨深く
「そうです。ある意味では、この人が、私を先生にさせたようなものですわ」
千春さんの方を向いて、笑顔を振りまく詩織。
「先生を見てますと、まるで自分の孫が、小学校に上がるようにみえますわ」
千春も嬉しそうに微笑む。
「私は、結婚もしませんでしたから、子供もいませんけどね。それでもねえ」
千春は、久しぶりに、先生の笑顔を見たような気がした。詩織は、公私、共々に、いそがし過ぎたのだ。
「臼井さん、有り難う」
「ジャ、先生、失礼します」
さて、昭和十九年といえば、日本が、第二次世界大戦の渦中にあった。敗戦への坂道を転がり始めた年だった。この時代にあって、詩織と、竹中正子は、九歳になっていた。
二人は、尋常小学校の同級生である。正子には、二人の妹がいた。幸子と良子である。母はといえば、正子が五歳の時に亡くなっていた。三人は、父、正男の男手一つで育てられたのだ。とある日。
「正子、なに泣いているの」
隣家の、川村芳子は、厳しく叱った。
「でも、、、、でも」
「今日は目出度い、お父うさんの出征の日なんだからね」
そう言ってから、正子を睨む。
「おばちゃんなんか、大嫌い」
悲しみの心のまままに。それから正子は駅のほうに向かった。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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