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短編小説・(大垣市)水門川8

短編小説・(大垣市)水門川8



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ほんの数日後のことである。
歌子のことが心配になって、寮に電話をいれた。電話の応対に出たのは好恵たちだ。
「お姉さんの恋人ね」
そう言ってから、急いで歌子を捜すのである。
「孝夫さんね」
元気のない歌子。
「俺のこと、恋人だってさ」
「ごめんなさい。恋人なんかじゃないもんねえ」
「いいよ、そんなこと」
「それで」
小さな声である。
「いや、どうしてるかと思ってね」
「うん、そうね、わかっているくせに」
あなたのことしか考えていないと言いたかったのであろう。
「孝夫さん」
彼女は少し考えた。
「ねえ、今度三人で、行くけどいい。一緒に食事しましょうよ。あの娘達ったら、休日なのに何処へも行かないの」
孝夫は、少し考えた。胸が熱くなるのを覚えたのである。
「ああ、いいとも、奢ってやるよ」
「ありがとう。甘えてもいいのねえ。うれしい」
「いいさ、妹みたいなんだろう」
「そうよ、妹よ。私の妹なの」
歌子に、明るい声が戻ってきた。
次の日曜日の、午前十一時。
四人は、大垣駅まえのレストラン槌谷のビルに入っていった。食事は二階の中華レストランである。四人は同じテーブルについた。孝夫は、八宝菜の定食セットと、別メニューで酢豚とスープを注文した。
「これでいい?」
「ウワー、ご馳走だ」
うれしそうな、静香と好恵の声。
「甘えちゃってごめんなさい」
明るい歌子の声。
「何だ。甘えたかったのか」
孝夫には、複雑な女心がわからない。別れを決意したあとのお願いだったのである。
「学校は休まずに、続けて行ってね」
と、歌子は言う。
「休まずに行く」
静香は答える。
「私も休まない」
好恵は、明るい娘のそのままで、言うのである。
「休むこともあるの?」
孝夫は質問する。
「休んだことはない」
「ない」
「じゃ、立派だ」
「立派?授業中寝てばっかりしている」
静香の言葉。
「疲れて寝てばっかりしている」
好恵が続く。
「ウーン、休まず学校に行くだけでいい」
と、孝夫は答える。
「学校には、行くだけでいいのよ」
歌子はなだめる。
「俺なんか、皆出席で、卒業式で特別賞を貰ったもんな」
「貰ったの」
感心する歌子。
「そうだ、学校へ行くだけでいいんだ」
「私、休まずに行く」
「私も休まずにいく」
好恵も続く。
「いったら、少しは覚えてかえることがある。それが勉強ってもんなのだ」
と、孝夫は語る。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
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