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短編小説・(大垣市)水門川2

短編小説・(大垣市)水門川2



                                   短編小説・(大垣市)水門川1

 



追いかけても追いかけても、掴むことができない希望。
故郷の川には、存在していたのである。川を越えて直ぐの、十字路の一角に、ここに孝夫の店がある。程なく三叉路を左折すると、養老公園まで、走り抜けて行くことができる。
高田の駅を左手に見て、中心街を過ぎると、段々と勾配が強くなる。そこで右折して坂道に入るのである。養老の滝まで、車で行ける所まで行けばいい。きっと、駐車場があるはずだ。後は、徒歩で登って行くのが、通例となっている。
古より、近代に至るまで、伝説に生きた滝である。地元では、孝子の滝と言って、親しまれている。孝夫が学んだ小学校にも、柴(しば)を背負って書物を読んでいる、孝子の石碑が立つている。三人は、時には細く曲がりくねった、時には急坂を、時には迫りくる岩肌の道を、息を切らせて歩いて行く。出店があちらこちらに見受けられる。
出店では、瓢箪と孝子の酒が売られている。瓢箪といえば、あの豊臣秀吉が愛したものなのである。出店は、滝元まで続いているという。長い長い坂道の果てから滝の音が聞えてくる。道中、孝夫は思索を続けていた。五人兄弟の、貧しい家に引き取られて、育てられた孝夫。姉妹という者を知らない。
若しかしたら、妹って、、、、こんな存在なんだろうか・?。分らない存在ではある。
「こんなんって、妹みたいと言うんだろうか」
孝夫は問いかける。
「妹、、、、妹じゃないもんね」
二人は一緒になってこたえる。
「じゃ、何だ」
問い掛ける孝夫。
「ボーイフレンドかな?」
静香が答える。
「違うよ、お兄いちゃんだよ」
好恵が言う。
「やっぱり、お兄いちゃんだ」
静香も続く。
「そうか 、お兄いちゃんか」
うれしそうに答たえる孝夫。涼しげな水の音止む処、轟音と共に、水は落下していた。
水飛沫を上げて、流れ落ちる様子は、見事という他にはない。三人は靴を脱いで、水溜りに足を入れ遊んだ。
「冷たい」
「冷たいね」
時には、手で水を掬って投げかける二人
一緒になって騒いでいる観光客の姿もあったのである。

「危ないよ」
と、孝夫は言う。その瞳は微笑んでいた。
「うーん、うーん」
と、静香と好恵」
「そこから先は又、水が流れ落ちていくからねえ」
注意を促すのである。
時代は、昭和四十三年頃。初秋とはいっても、九月の始まり。大木は、山々を覆いかぶせ
、太陽の光を遮っていた。嗚呼、故郷の山河は、乙女達にとっても、思い出の地になっていったのであろうか?
話は少し前に戻ることになる。
大垣、お前は、何という不可解な市町なのだ。
市街の人と、こちらの人(旧、不破郡)と、都会から住み着いた人、そして、遠く故郷を離れて、働きに来た青少年たちと、そこには明確な一線が引かれている。
格式と、豊かさと貧しさ・羨望と軽蔑が織り成す人生模様は多彩である。
駅から少し歩いて道路の東側、新大橋沿いに、屋台が十二―三台、店を並べている。夜ともなれば、馴染みの客が、コップ酒や、熱燗を求めて、三々五々集って来るのである。
水門川」に写る街の灯よ、お前は人を恋しがるのかい。それとも、酒を恋しいがるのかい。
それぞれの屋台では、三―四人は入っていたであろう。
「ごめんよ」
と、孝夫は暖簾をくぐった。
「おや、いらっしい。これは見知らぬ人ですこと」
女将さんは答える。
「熱燗一杯、酒の肴はスルメでいいよ」
孝夫は、本当に陽気なやつである。
「皆んな、席を作ってあげなよ。ホラホラ」
女将さんが、場を執りなす。客人達は、孝夫を中央に座らせてやったのである。
「あんた、酒は好きなのかい」
小母さんが声を掛けてきた。この人の名は、幸子と言うのである。
「いや、気分、大人の気分を味わいたいだけ」
あっけんカランと言う孝夫。一気に飲み干すのである。
「もう一杯」
「大丈夫かい」
心配そうな女将さんの顔。
「ねえ、あんたを見込んで、頼みたいことがある」
幸子さんが話しだす。幸子さんは、もう四十も半ばだと言う。紡績工場で、住み込みの寮母をしていると言う。
「うちの娘達ったら、ボーイフレンドもよう作られなくて、寂しいもんだよ」
「それで」
「だから、、、さ、、、あんたがボーイフレンドになっておくれというこなんだ」
幸子さんは、頭を下げた。。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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白浜砂夫の電子書籍




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