スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

短編小説・美しき魔性の女10

短編小説・美しき魔性の女10



                              短編小説・美しき魔性の女1

 
                              短編小説・美しき魔性の女2

 
                              短編小説・美しき魔性の女3

 
                              短編小説・美しき魔性の女4

 
                              短編小説・美しき魔性の女5

 
                              短編小説・美しき魔性の女6

 
                              短編小説・美しき魔性の女7

 
                              短編小説・美しき魔性の女8

 
                              短編小説・美しき魔性の女9




季節は、やがて夏をすぎて、初秋から、深まりゆく秋がくる。
九条喜一郎、深夜にパソコンに打ち込むように、小説を書く。
ちょっと疲れたときは、ラジオにスイッチを入れて、音楽を聴いている。
歌謡曲、秋止譜、風立ちぬ、流れくる歌がいとおしくてならない。
「音楽は良いものだ。心の疲れを癒してくれる」
と、ひとり言。あの人は如何しているのだろうかと、思う人。そう今は思う人になっているあの人は、どんな活躍をしたのだろうか。
この頃、安田万理子は、輝いていた。まるで水を得た魚のように、ダイナミックな行動をしていた。時代が彼女のような人を、必要としていたのかもしれない。
内なる心に、激情を秘め、それでいて、美しさ、物静かさとを、併せ持っている女性。
その、内なる激情が、情熱から行動へと変ってゆくとき、その人は、輝いているというべきであろう。安田万理子は、そんな女なのだ。万理子は、幼稚園の園長兼、保育所の所長の大任を引き受けたのである。この年代の子供たちというのは、育て方によっては、一生を左右することもあり、また、最も育てにくい年代でもあるのだ。即断即決できる、行動派の女性が必要だと考えるのである。
それは、お盆も過ぎて、二十日の頃のことであった。
喜一郎の友人がもたらしてくれた、その話というのは、
「安田というのは、結婚後の名前で、旧姓ではないですねえ。離婚後もそのままできていますねえ」
と、彼は驚いたように語るのである。
「へえ、そうなの」
と、言いながらも、別に驚くような素振りも見せない。そんな女性は、今の時代は沢山いるし、喜一郎自身、そういう女性を、数人は知っている。愛に生き、憎しみと哀れさをだき、今も、愛と憎しみの間(はざま)でもがきくるしんでいるのではないだろうか。
「まあ、どちらにせよ、彼女は、結婚前から、安田の名前をよく言っていますから、近親結婚に近いものがあったかもしれませんなえ」
と、喜一郎。姓名の持つ重みを、今の時代のひとは知らないと思う。安田も正田も、古くは朝廷に通じる姓氏である。近衛といい、一条といい、二条、三條といい、そう、九条といい、並のものではない。
「もっと、時代を、千年、百年、単位で見なければ、答えが見えてこないような気がするのです。三年や五年でわかるものではないと思う」
と、喜一郎は言う。
「そうですねえ、イスラム教や、キリスト教には数千年の歴史がありますから」
と、友人。この彼が、経済学のプロであり、大の歴史好きと言うのは、不思議ではある。
思い出せば、喜一郎は、養母、富子の愛によって、貧しかったけれど、最も庶民らしく、庶民としての、喜びも悲しみを味わってきた。
では、朝廷はと書くべきであろう。九条喜一郎を、どのように見守ってきたかというと、時々は、様子を見にきていたようである。自宅近くに、財閥系の鉱業会社と書いたライトバンが止まって見ていた。その他にも、色々あったけれど、それが、喜一郎自身、結婚すれまで続いていたと、認識している。
「平安時代から続いている歴史、それが朝廷であり、今の皇室が続く限り、日本が、〔和〕を重んじる国として、生きられるでしょうねえ」
と、喜一郎。
「そう、歴史が語る重みか」
と言う友人を、玄関まで見送るのである。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




ランキング
投票お願いします。
にほんブログ村 ポエムブログへ


人気ブログランキングへ



ブログランキング

ブログ王

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
5117位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
小説・詩
121位
アクセスランキングを見る>>
砂夫ちゃんカウンター
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。