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短編小説・美しき魔性の女4

短編小説・美しき魔性の女4



                              短編小説・美しき魔性の女1

 
                              短編小説・美しき魔性の女2

 
                              短編小説・美しき魔性の女3





安田万里子の、名東病院での、入院生活は、一ヶ月半に及んだのである。
長い闘病生活は、いかに重病あったかを、語っているようである。
「九条さん、喜一郎さん、私、安田です。明日退院します」
「退院それはよかった、元気になってくれたんだねえ」
「ええ、喜一郎さん、有り難う、お世話になりました」
万里子の声は弾んでいた。一つ一つの山を越えて、人は強くもなり、強かにおもなるという。それは、この世の中は、絶望することなどない、何とかなるということ、知ったからであろう。
「えーと、万里子さん、送り迎えしてあげるよ、行くまで待っていて」
「そう、送り迎えしてくれるの、うれしいわ」
内心は期待していたのである。
「そうだよ、城北町にコーヒーとサンドイッチの、すごくおいしい喫茶店があってね、そこへ行こうよ」
「まあ、ご馳走様になります、でもどうして、その喫茶店知っているの?」
「まあ、それは、店に入ってから話すよ」
「そうね、じゃ、待っています」
次の日、喜一郎は、万里子を病室まで迎えにいった。
化粧をしなくても、美しい万里子、化粧をほどこした万里子はあまりにも美しかった。
喜一郎の車に乗り込む万理子。
「それで、その喫茶店、どうして知っているの」
「実は、高校時代の、ガールーフレンドでね、結婚してこの地に来たんだよ」
「それで、お手紙なんかを頂いて?」
と、探りを入れる万理子。
「そうだよ、お手紙を貰ってから知ってね、でも、コーヒーもサンドイッチも、なかなか、おいしいんだねえ」
と、どこか弁解じみた言いかたである。
「じゃ、その人も、心の片隅に、喜一郎さんがいたということですわねえ」
「そんなに大げさに考えなくても、そう、ご主人から手解きを受けて、上手くなったから、、、どうぞ来てくださいって、そんな軽いタッチじゃないかなあ」
「上手く逃げたね」
と、万理子。男の良さも、ずる賢さも知りつくしている、万理子には通じない。
「思い出が美しい程、コーヒーが、美味しくて、コーヒーが美味しいと思える人ほど、青春時代はかがやいていた。そう、サンドイッチの様に」
「私は、その、すごく美味しい、サンドイッチをいただくのですね」
と、万理子。
喜一郎と、万理子の二人が、喫茶店に入ったのは、病院をでてすぐのことだった。
「万里子さんなににします?」
「喜一郎さんと同じものでいいですわ」
「じゃ、コーヒー、ホットね、トーストに,、えーと、卵ついているねえ、別メニーでサンドイッチを」
と、立て続けに言ったあと、ウインクする喜一郎であった。
「万里子さんは、若かりし頃は、保育園の先生をしていたそうですねえ」
「まあ、あの御婆さんからきいたのね」
「そうだよ、歌にものすごく味があって、上手いだけでわない、心が篭もっていた、と言っていたよ」
「あら、そう、でも昔、言わなかったかなあ」
「聞いたことなかったよ、良い保育園の先生だったなんてことは」
「捨てられる女のじぁれごとですよ」
「別離ねえ、男に捨てられる女と、別れたいけれど男を傷つけない為に、捨てられるように、捨てられるように、仕向けていく女もいるから、鵜呑みにはできない」
「あら、喜一郎さんは、馬鹿な男でねえとか、詰らんやつでねえ、御免なと言うの、あれ、別れたいときに使うセリフなの」
「まあね、愛と別離には色々あってね、下にでたほうが収まりやすい」
「でも私は、御免、御免、お呼びじゃないわねえ」
「良かった、明るくなったね。ここのサンドイッチ美味しいでしょう。ママさんの自慢なんだ。コーヒーの味もいい」
「そうね、おいしい、とても」
万理子の皿が空になってゆく。
「でも、日本も可笑しな国だね。幼稚園は文部省の管轄で、保育園は厚生省の管轄だなんて、同じ教育行政なのにね」
「幼保一体が良いのよ、そう思わない」
と、万理子。その万理子の面影に浮かぶ男の正体は。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
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