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短編小説・君に心は届いたか3

短編小説・君に心は届いたか3



                              短編小説・君に心は届いたか1


                              短編小説・君に心は届いたか2



やがて季節は、初春から、立春へと移っていく。
この季節の花といえば、マーガレットではないだろうか。春を告げる鉢花。
原産地は、大西洋の彼方に見えるカナリア諸島。フランス人は、マーガレットが大好きである。恋占いの花としても愛用されてきたのである。パリの女性達は、
「愛しているわ。少し愛しているわ。とっても愛しているわ。いいえ、全然愛してないわ」
と、囁きながら、花片を切り取ってゆくのである。
孝夫は、恋占いにはよく似合う、白の一重咲きの花を買って来たのである。
如何してかって、それは、花屋の娘が、
「このマーガレットの花がいいから」
と、薦めただけのことである。花屋の娘が孝夫に恋している?
そんなことは信じたくない。信じられない。娘も年頃だから、きっと、恋占いをしているのだと思いたいのである。
冬を越せば春が来る。
やがて、春が来ると花が咲く。花が咲き誇る頃になると、孝夫の近くの商店街にも、人の流れも多くなるのである。
さて、春も盛りともなってくると、甘木真理子の人気は、緩やかな上昇カーブを画いてくるのである。
大久保孝夫の許に、風の便りを運んで来たのも、この頃であった。
風の便りによると、息子の博夫が、時々近所まできているということである。
学校帰りの、自転車に乗っている姿は、博夫であると言うのである。
こんな時は、別れた妻を恨んでみたくなるものだけど、それだけは言葉にだすまいと、口をつぐんだ。言葉に出して誰かに八つ当たりすれば、一番悲しむのはきっと、博夫に違いないと思うのである。
三月三日は桃の節句である。(午後はいつでも、ハッピータイム)は、淡々と予定が消化されていった。
今日はお客様が来ているという。作家の大原一郎だった。
彼、大原一郎は、切れ味鋭い評論家としても、名声をほしいままにしていたのである。
パーソナリティの原田太郎は、大原一郎の人となりを語っていた。
実に流暢な説明ぶりは、流石にその道のプロであると感心せずにはいられなかった。
孝夫も聞いていて、安心感を覚えたのである。
孝夫は、大原一郎の小説を、一度も読んだことがない。彼にはまったく興味がなかったけれど、今日は何となく聞く気になっていた。それは、原田太郎と一緒になって、聞き役に回っている真理子のことが、とても気になっていたからだ。
ひょっとしたら孝夫は、原田太郎にやきもちをやいているのかもしれない。いや、そんなことはないと、心の内では葛藤していたのかもしれない。
流れる日々は、恐ろしい程早いものである。
それを、冷静に感じとれる孝夫は、まだ、心に少しばかりの余裕があったのであろうか。
ラジオのスイッチを入れるのである。
何時ものように、真理子が登場する。今日の真理子は、映画界の実情を語るのである。
最近、邦画が面白いと言う。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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