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掌編小説・裸の画家3

掌編小説・裸の画家3


                                        裸の画家1


                                        裸の画家2



「それでなければ、絵がけないかもねえ」
「以外と、大芸術家ほど、奇抜なことを考えるものだよ」
「如何して、作品を完成させてゆくのかしら」
「大下絵を作って、後はなぞる様に、描き上げゆくという、やりかただろうね。そういう手法もある」
「大下絵、・・・え?」
「知っているよねえ」
「・・・?」
「スケッチから始まって、下絵、大下絵を描いて、絵画を作るやり方だね」
文子は、黙って聞いていたけれど、たぶん知っているのだろう。
「大下絵というのは、実物大のものを絵がくんだ。鉛筆や、コンテでねえ。唯、色を塗ってないだけなんだ」
「わかったわ」
「一流になる人程、一つ一つを積み上げてゆく根気と、緻密さがあるのかもしれない」
「そうねえ」
「それに、大胆さがあればなお良いだろうね」
「ありがとう」
文子はようやく、プロの画家の仲間入りをした程度なのかもしれない。
「スケッチとか、下絵とか、・・・」
文子が聞いてきた。
「そうねえ、一流の画家程、スケッチとか、下絵、大下絵なんかに、素晴らしいものがあるね」
下手な画家の絵より、素晴らしいものがあるという言葉は、文子にも理解できた。
「もう、それ自体が、芸術だよ」
と、孝夫。
「芸術ですよねえ。私もよく、スケッチに出かけるわよ」
と、文子。
「そうだね。きっと世にでる作品の、何倍ものそれらが、画家の家には残ってように思えてならないんだよ」
「充分考えられますわねえ」
「うん」
「私のアパートにも、そこそこは残っていますけれども・・・」
「将来、そういう物も、一流の画家のものであれば、高い値段で取引される時代が来ると思っているんだ」
「それは、分かりませんけれども、やっぱりあなたは商売人ね」
孝夫は、苦笑いした。苦笑いしたけれども、あえて反論しなかった。努力は、天才を作る。時には、気の遠くなるような、持続力が必要となる。
その苦労を償ってやれるのは、お金でしかできない。
それが分ってきた孝夫だから、苦しくもあった。孝夫はよく一人で、個展や、展覧会に出掛けた。文子が、洋画の制作に没頭していて、暫らく会えないときなど、旅に出掛けていった。何時の間にか旅が好きになっていった。旅先の美術館を訪れるというのは、常の出来事になっていった。
宿泊先といえば、ホテルより、何時も旅館を選んだ。宿屋の女将さんから、挨拶を受けると、直ぐに、浴衣に着替えて、大浴場に入るのが好きだった。
小宴会場に入れば、これまた大好きなカラオケが盛会である。遠慮なく仲間に入れてもらう孝夫。流れくる名曲は『釜山港に帰れ』。孝夫が歌うは、『夜霧の慕情』。文子より前の恋人とは、夜霧の中で、泣き泣き別れたと、そう言いたいのであろう。
温泉が、心も、身体にも、休ませてくれることを、経験的に知って来たのだ。
孝夫は、文子が、如何して画家を志ざし、画家に成ってしまったのか、未だにわからないでいる。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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