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掌編小説・裸の画家2

掌編小説・裸の画家2


                                        裸の画家1



二人の仲は、知る人ぞ知る仲になっている。美術界、とりわけ洋画の世界は、そんなに広い世界ではない。幾年月、肌を重ね、求め合うままに、夜を過ごして来たことだろう。
時には夜毎に、時には、何ヶ月か、会わずにいたけれども、一緒になるとか、別れるとか、
言い争ったことはなかった。語らなくても分かり合えると思ってきた面もある。
本当のところ如何なんだろう。相手にとって良い人でいたいと思っていたのかも?
「今、孝夫さんが、何考えているか、言ってあげましょうか」
「うん、言ってほしいね」
「ウフフフ・・・」
「こら、笑ったりして」
「如何して、招待してくれたのか、考えているのでしょう」。
「そうだよ」。
文子は、又、笑い出した。確かに、可笑しいことに違いない。文子は、改まったように
「ねえ、ねえ、孝夫さん」
「なあに」。
「今まで言わなかったけれど・・・」
「何が?」
「実は私は、父が釜山生まれの韓国人なの」
「韓国の人ねえ」
「私のこと、嫌いになった」
「別に、どうってことはないさ」
「嬉しい言葉ですわ」
「もう、インターナショナルな時代だよ。世界は一つだよ」
「あなたらしい」
と、文子は答える。実際、あらゆるメディアも、コンピューターも、瞬時に世界を写し出してくる時代である。飛行機に乗れば、世界の果てまでも行ける。江戸時代に、朝鮮国王が、日本国に、朝鮮通信使を派遣したことなど、まるで、絵物語の世界のことと思えてならないのである。
「日本と、韓国、北朝鮮、を含めての朝鮮半島。あなたの言うところの世界は一つという考えが広がっていけば」
「いけば、どうなるの?」
「絆、交流の彼方に見えてくるもの」
と、文子。語りだすと情熱的になるから不思議な人である
「華麗なる歴史絵巻が作られていく?」
と、重ねて言う文子。
「絵物語じゃなくて、絵巻ねえ。文子さんは画家だから」
と、言う孝夫。自身に言い聞かせているみたいである。孝夫には、時間と金があった。行こうと思えば、何時でも、飛行機に乗って、香港、シンガポールなど行けるのである。
「この絵なんか、東京の美術展に出品して、大賞を取った絵なんだけど」
と、文子。
「206×159センチメートルの大作ですねえ」
と、孝夫。
「大作ですわ。仲間内では、もう先輩格ですわ」」
と、文子。
「そりゃ、仕方がないよ」
と、孝夫。
芸術家の世界も実力、実績?の世界だと思うのである。
「でも、どうしてこの円周、こんな大きな円周を出したり出来るんでしょうね」
「私には、判りますよ」
と、孝夫。
「それに、見事なまでの、鮮やかな色調、如何して出せるんでしょうねえ。まだまだ、私には、出来ませんわ」
「それは、企業秘密、いや、芸術家の秘密というか、アイデアがあるんだよ」
「誰にも教えない秘密ね」
と、文子。何処で知ったか?理解に苦しむのである。
「秘めたものだね」
「どのようにして?」
「薬の調合に、似ているね」
「ほう」
「色の中に鉄分を混ぜたり、銅を入れたり、色々のものを入れたりして、自分独自の色を作り出すんじゃないのかなぁ」
「きっと、そうねえ」
「そうだと思うよ」
「じゃあ、あの円周は、コンパスでも使って出したの?」
「コンパスでは、小さ過ぎて出せない」
「じゃ、どうして?」
「案外、たらいの桶なんか利用したんじゃないの?」
「成る程ねえ」
「近くにある物を、てっとり早く利用するのも悪くはない」
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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