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短編小説・鹿鳴館と公家14

短編小説・鹿鳴館と公家14


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そして、少し日々は流れた。
それは、時間を稼ぐというより、次のあるべき行動のための、休養なのか?
気疎しものといえば、好きでもない男の人の邸宅に招かれて、座敷に上がって御世辞の一つでも言うことであろうか。
「個人の境涯を高めてゆくことが文化人の使命であり、其の為に切磋琢磨することを惜しんではならないと思います」
と、文麿の挨拶。
そこかしこより漂う、稀有な文雅の香り、花の香り。それが公家というものであろう。
「歌小路様の父君におかれましても、四条様の父君におかれましても、激動の時代にあって、自身を見失うことなく、文と芸の、文芸の道の上達に励んでおられました」
と、奈都子。
「四条様や、今は亡き沢の上家の父君様は、稀有な文化人と言ってもいいと思います」
文麿は言うのである。
その足跡が、一歩邸宅に足を入れた時、見受けられるのである。歌小路家には、当家の風雅があり、沢の上家には、沢の上家の風雅があるというものである。
「当家を訪ねられて、満足されたでしょうか」
と、文麿。
奈都子と文麿の婚約は、父君が決めたことである。文麿と奈都子が生まれた頃の、男と男の約束事にすぎない。しかし、いきさつを承知している人が高貴なる人であるならば、文麿にとっては、強い見方をえているようなものであった。

とある日のこと。
奈都子と孝道は、草月流華道の、展覧会の会場に来ていた。
奈都子の、生け花に見とれている孝道。二人の会話が、もれ聞えて来る。
「父の傍にいて、三條の内府様や、岩倉様を観ていた時は、ひしひしと伝わってきましたわ」
「何がですか」
「何て言うか、緊張感というのか、張り詰めたものがありましたわ」
と、奈都子。
黙って聞いている孝道。
「四条様や、歌小路様だって、きっと同じ経験をされたとおもいますわ」
「同じ経験ね?」
と、孝道。
「ええ、それはきっと、時代を背負っている人達の責任感だと思いますわ」
「成る程ね。言葉に重みがありますねえ」
と孝道。感心するのである。
「娘だから?そうでしょう」
と、苦笑いする奈都子。
「いいえ、貴女の聡明さが言わせているから」
と、切り返すのである。
「今上様が、維新の大業を成しえたのは、名もない武士や庶民の大活躍があったればこそですわ」
「それを、勤皇の志(こころざし)と言うのでしょうか」
と、孝道。
「勤皇の志でしょうねえ」
「維新には、救国の大義があったのでわ」
と、問いかける孝道。
「大義に殉じて行った、武士や庶民がいた」
と、答える奈都子。
「頭目とし立たれた、公卿の勇気もあった」
と、言う孝道。
「有り難い言葉ですわ。亡き父君が聞いたら、どんなにか、お喜ひになられることでしょう」。
奈都子の目から、人筋の涙が流れたのである。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
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