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短編小説・鹿鳴館と公家13

短編小説・鹿鳴館と公家13


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世間、騒然たる時に当たり思うことは多々あり。
御子左の昭夫が、良子を訪れたのは、それはそれで魂胆があってのことであろう。
その時、孝道は、一人書斎にあって思考していた。
自分にとって、家名とは何なのか。
家を継ぐこと、家を捨てる事。嫡流の子であるがゆえに、独断は許されない。
それは、実母(じつぼ、おんも)である白川の局にとっても重い宿題であった。それでも、決断の時は、迫っていた。
瞼に浮かびくるのは、あの人の面影なり。
その頃、奈都子は、彼女なりに悩んでいた。何と言う名家にうまれたのであろうか。
私には重た過ぎて耐えられない。私が、家名を継いでもいいのだろうか?まして、女として生まれた以上、家を出るということは、悪い事ではない。
愛するあの人と、生きる為に家を出るということであれば、幸福な生き方と思えるのである。
でも、あの人は、私のことを、如何考えて下さっているのであろうか。答えは、見えてこない。濡れた瞳に浮かぶは、あの人の面影なり。

さて、その白川の局様はというと、苦境に陥っていた。
久慈子様のお見合いの一件以来、実の妹の良子から、相手にされなくなった上、世間からは、白川の局様は女腹と揶揄されては、娘達が可愛いでは済まされるものではない。
孝道の尊父、白川の局様の夫に当たる御方も、当家に迎え入れなければと考えるようになっていたのである。
高貴なる者とは何と悲しき者よ。時を見失ってはならない。夫、御方様から話があっては、自身の価値が下がるというものである。
白川の局様は、頭の切れる方であられた。
時を見失うことなく決断されたのである。
執事の番所正義が、白川の局の依頼を受けて、清所家を訪れたのである。
良子は正義を座敷に案内した。
「良子様には、いよいよ御健勝のこと、ひとえに善行の積たる徳によるものと思います」
正義は、下座から挨拶した。
「厚く御礼申し上げます。これも御主人様の、広大なる情の賜物と、伏して御礼申し上げます」。
良子は上座から、深深と頭を下げたのである。
良子は、執事や使用人に対しては、どこであろうとも、上座に座るのである。
「孝道様は」
と、正義。
「すぐに、まいります」
と、良子。
彼女には、執事の来訪の目的がわかっていた。
「孝道様を本家に迎え入れたく、白川局様の意を受けて参上してまいりました」
と、口上を申し上げるのであった。
「それは、それは、白川局様は実母ですから、連れて帰ると言われては、私は断ることはできませんが・・・が・・・」
と、良子。
「はて、さて」
「孝道様は、帰るとか行くとかは、言わないかもしれません」
「これは、これは、理解できませんが」
「孝道様は、父母に対する愛着がありません」
と、良子。
「白川局様が嫌いなのでしょうか?」
「そうではありません。あの子は家に縛られたくないのです」
「どうしてでしょうか。将来が約束されるのですよ」
と、不可解な顔付きをする。
「誰か好きな人がいるか、好きな人ができたのでしょうねえ」
と、良子。
本心は、姉の白川局に対して反ぱくしているのである。
「好きな人がねえ。それなら話として分からないわけでもありません。本家に帰るということになれば、白川局様が、もう決められた子女と結婚しなければなりませんから」
「もし、そうだったら、黙って引き下がってくださるでしょうか?」
「いいえ、そんなことは御主人様も許すとは思われません」
と、執事。
「認めない。許さないというのねえ」
と、言って天上を見る良子。その言葉は溜め息と言ってよかった。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




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