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短編小説・鹿鳴館と公家10

短編小説・鹿鳴館と公家10


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それから、数日後。
奈都子は、孝道が経営する私塾を訪れていた。
文麿が言った。
「俺は認めない。認めたくない」
それが、行動へと駆り立てたのであろう。
愛とは、反対される程燃え上がる。本当の愛とは、反対された時から始まるものなのかもしれない。
奈都子は、孝道のことなら、少しでも多く知りたいと思うようになっていた。
さて、その小さな私塾であるが、本通りから一本裏通りに入った、本当に小さな私塾だった。
奈都子は語る、心に愛の火を灯しながら。
孝道は、唯黙って、初恋の話を聞いていた。それが一番良いように思ったからである。孝道には、思い当たることが少なからずあった。
「貴女の心の中に住んでいるのは、きっと初恋の人の印象が強すぎるからです」
と、複雑な思いで言う。
「はい、初恋の人がとっても可愛いい人に思えたから、思い出のなかに閉じ込めておくことができないのです」
と、奈都子。
言葉は愛のかけ引きなのか?
愛がかけ引きさせるのか?
「その慕情が、あなたの優しさを作っているのですねえ」
と、切り返す孝道。
「いいえ、私の心の中を、唯黙って聞いてくださる孝道さんの方が、優しいひとですわ」
何て答えていいのだろうか?
黙って頷いたのである。
さて、奈都子の初恋の相手というのは、実は孝道なのである。
奈都子には想像もつかない。あれは、十二歳の頃であった。奈都子が一度だけ訪れた摂家の本宅。執事の番所正義に案内されて入った奥座敷。日下部鳴鶴の掛け軸のある奥座敷はあまりにも広かった。

今日は尊父の、叙勲のよき日である。
二人は、陪食に招かれたのである。
その人、孝道は、尊父の隣、首座にあった。
奈都子は末座にあった。仮にも嫡流である。当然といえば当然であり、誰も不思議に思わなかった。
奈都子は、自身を見て微笑んでいる少年が愛しくてならなかったのである。

話を少し、過去に戻してみる。
明治十八年十二月。
内閣制度が創設され、初代総理大臣に伊藤博文が就任したのである。
内務大臣に、山縣伯爵、大蔵大臣に、薩摩出身の松方正義が任命された。
顔ぶれはと言うと、長州出身者が四名、薩摩出身者が四名、土佐が一名、幕府一名というように、実にバランスよく組み合わされていたのである。又、この頃、旧幕臣の大鳥圭介は、元老院議官兼学習院院長の要職についでいた。やがて黒田清隆が総理大臣の地位に就くことになる。
対極に位置する、山縣伯爵は、一月二十二日。午前より内閣へ出頭したのである。
これより先に、御前に伺候して奏上に及んだのである。
ここに、二十二年二月十一日の紀元節の日。
帝國憲法と、皇室典範は公布されたのである。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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