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短編小説・鹿鳴館と公家9

短編小説・鹿鳴館と公家9


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「思いすごしさ、唯の平民でいいんだよ」
「変な言い方ね、そう、わざと成り下がっていたいような」
と言う奈都子。
よく、心理を掴んでいる。公卿の子という宿命の糸に繋がれて、翻弄されるのはまっぴらだと思う。所詮、人は大地の子。平民も華族も、そこから離れて生きては行けないと考える孝道であった。

そして日々は流れて、如月。
如月も、中旬ともなれば、紅梅の咲き誇る頃。紅梅は、雄しべの花糸まで紅く華美である。
ああ、更生(よみがえるの意)なるもの、それは何か?
奈都子を問い詰める、歌小路文麿。
「清所孝道は、どこか高貴な方の御落胤ということらしいが」
「誰から聞いたのですか」
と、聞く奈都子。
「御子左の昭夫からだ」
と、答える文麿。
「昭夫さんがねえ。あの人は噂を流すのが好きだから」
と、奈通子。
「御落胤だろう。昭夫は、自信があると言っていた」
と、文麿。
彼と昭夫は幼なじみである。
「だったら、どんなにか良いでしょうねえ。私は」
格が釣り合うということだろうか、共通する話題を持てるということだろうか。兎に角、奈都子の言葉である。
「考えたくもない。あいつが俺達より、格上に人になるなんて」
と、文麿。
「でもあの人は、平民の子として、一生を終えたいと考えているみたいよ」
と、奈都子。
「あの人、ああ、何てことだ」
と、文麿。
そう、あの人の心がわかるがゆえに、寂しくなる奈都子。
「どうして、そんな考えをもつのだろう」
と、文麿。理解に苦しむのである。
「人としての喜びも、悲しみも、庶民という、(心の故郷)で感じていたいのでしょうねえ」
と、奈都子。
「それが、彼、あの人の美学なのか」
と、文麿。
「歌小路様のように、恵まれた方にはわかるはずもありませんわ」
と、奈都子。
「何を言われるのですか。沢の上家といえば精華の名家じゃないですか」
と、文麿。
「孝道さんは、苦労を重ねられました。父亡き後、私も少しは苦労しました。甘やかされて育った貴方とは違いますわ」
「苦労することが、そんなに良いことなのか?」
と、文麿。
「ええ、苦労を重ねたことで、孝道さんは、寛大な人になれましたわ」
「うーん、ほれたね、本気で、彼に。庇うってことは惚れたってこと」
と、文麿。
「そうよ、好きよ、大好きよ」
と、言葉を返す。
「俺は認めない、認めたくない」
と、文麿。
奈都子の目から涙が溢れ出したのである。男の人を好きになることが、こんなにも辛いことだとは、思ったこともなかったのである。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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