スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

短編小説・鹿鳴館と公家6

短編小説・鹿鳴館と公家6


                                  短編小説・鹿鳴館と公家1


                                  短編小説・鹿鳴館と公家2


                                  短編小説・鹿鳴館と公家3


                                  短編小説・鹿鳴館と公家4


                                  短編小説・鹿鳴館と公家5



そして、日々は流れていく。
万葉の時代より、花といえば梅、梅といえば白梅。寒中に百花に先んじて咲く白梅はあまりにも美しい。
香りと気品を楽しんでいる、花麻呂と奈都子。
「四条様」
「はい。何か私に言いたいことが」
「私は、鹿鳴館が好きになれません」
と、奈都子。
「それは、貴女らしくありませんよ」
と、花麻呂。
「それでも、鹿鳴館の良いところを探すならば、何でしょうねえ」
と、奈都子。花麻呂、少し思案の後、
「やっぱり、鹿鳴館に集う人達を見ていただければわかると思いますが、時の政権の、最高機密を手にいれることができるのです」
「最高機密とは」
と、質問する奈都子。
「人事です」
「私には、興味のないことですは」
「人によるのです。三条の内府や黒田清隆総理大臣に、会うこともできるのですから」
と、花麻呂。
「三条の内府とといえば、大君の信頼厚き人ですね」
と、奈都子。
「ええ、それに、、諸外国の高官や、大公使も出入りされますもで、世界の情報を最先に知る事も可能なのです」
花麻呂には、場なれした自身というものがあるようだ。
「私にはまったく興味のないことですは」
と、奈都子。
「あなたは、三條の内府に可愛がられているそうですね。それに、今は亡き父君は、征西鎮撫総督や、外務卿なども務められた方ですよ」
と、花麻呂。
「それがどうだということなのでしょう」
冷たく言い放つ。
「外国の高官にも人脈があるでしょうし、あなたの美しさなら、きっと、鹿鳴館の華になれるでしょう」
と、花麻呂。
「いいえ、私は家を出たいと思っています」
と、奈都子。
「え、それでいいのですか。あなたは家の持つ重たさを知らないのですか?」
と、花麻呂。
「知っているつもりですわ。でも平民になりたいのです」
と、奈都子。孝道の面影が浮かんでくる。
「どうして?」
「平民でなければ摑めない幸福もありますわ」
「あなたが、、、わからない?」
「やはり、目的のある者にとってのみ、鹿鳴館は鹿鳴館なのですは」
と、奈都子。
「華族にとって、鹿鳴館は花の都」
と、花麻呂。
「平民にとって、鹿鳴館は砂上の楼閣ですは」
と、奈都子。
時の政府は、庶民なんか見ていないし、見ようともしなくなっていた。
維新の大業は、名も無き庶民の後押しがあってこそ、成し遂げられたのである。

花麻呂にはえない、奈都子の心底。家を出たいと言うことは、自身の心の命ずるままに、行きて行きたいということである。
孝道と奈都子は会う瀬を重ねていた。
会えば会うほど恋しくなる、彼女の優しさ。
「華道と和歌は、どこか共通点があるように思えてならないのですが」
と、孝道。
「きっと、型があって」
と、奈都子。
「そうですねえ。どちらも定型があるようですねえ」
「私たちは、型と言っていますが、型から入って、心身共に自在の境地を楽しむということでしょうか」
奈都子の言葉は澄んでいた。
「成る程ね、楽しむ境涯にまでなれということですか」
「心の広がりを言ったまでですわ」
と、奈都子。
「優艶を求とし、幽玄の世界に生きるということですね」
「本当に難しい言葉ですわ。でも、きっとそうだと思います」
と、奈都子。その唇は微笑んでいた。
会話は続いていったのである。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




ランキング
投票お願いします。
にほんブログ村 ポエムブログへ


人気ブログランキングへ



ブログランキング

ブログ王

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
10121位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
小説・詩
232位
アクセスランキングを見る>>
砂夫ちゃんカウンター
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。