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短編小説・学級委員長物語3

短編小説・学級委員長物語3


                                 短編小説・学級委員長物語1


                                 短編小説・学級委員長物語2



ここ、白樺小学校の校庭。
その校庭の片隅の、そこかしこに、新春を飾る、いくつかの梅の花が咲き誇っている。あれから、良一は変った。いつも幸治にへばりついて行動しているけれども、目立って明るい。あの時、あの場面を取り仕切った、副委員長の雪夫もまた変わった。地味な中に秘めた強かさが出てきている。幸治は、ライバルというより、最も信頼できる、相棒を持ったと思うのである。事実、幸治はよく雪夫に相談したし、雪夫もまた、これに応えて、卒業するまで、幸治を支え続けた。
とある日のこと。
「校長先生」
「ハイ、教頭先生」
「校長先生は聞いていますか」
と、田中教頭が声をかける。
「堀田邦子先生のことですか」
と、山村校長は、返事した。
「ああ、聞いてられるんですねえ」
と、田中教頭は、ホッとしたような顔をする。
堀田邦子先生のご主人が、会社の仕事で、東北に転勤することになった。
邦子先生も付いて行くという。向こうでも、先生を続けられるように、校長先生に相談に来ていたのだ。
この学校では、一年二年と、同じ先生が担任する、持ち上がり制になっていた。
当然、六年になっても、邦子先生が受けもつことになる。
「生徒が不憫ですねえ、教頭先生」
「そういえば、山本幸治君のリンドウ組は、二年の時も、先生が病気で、長期入院になりましたねえ」
「そうそう、それで二学期から、産休先生の、関本孝子さんが、ピンチヒッターで、教壇に立ってくださいましたねえ」
そう言つてから、校長先生は、当時のことを思い出してみるのである。
「本当に、不憫な生徒達だなあ」
教頭先生は、溜息をつく。

そして、数日後のことである。
この学校には、思いやりがあふれている。それは、森の温もりに似ている。厳しい冬を耐えて来た木々の強さが、支えてくれているからだろう。
やがて、校内放送が流れた。
「五年リンドウ組の、山本君、日野さん。堀田邦子先生が、職員室にお呼びです」
ガラガラ、職員室のドアを開ける音がする。
「幸治君、日野さん、呼び出してごめんなさいねえ」
「先生、話というのは」
広子が声をかける。
「二人は、もう知っているかもしれませんが、主人の都合で、私はこの学校を去っていきます」
「やっぱり」
と、幸治は言う。
「もちろん、三学期一杯は、皆さんと一緒に、勉強していきたいと思います」
「それで、私達に何を?」
広子は、先生の顔を見詰める。
「二人に、リンドウ組の生徒達のことを、くれぐれもよろしく、お願いしたいのです」
邦子先生の、目頭が熱くなってきた。
「先生」
幸治と広子に、それ以外の言葉は出なかった。邦子先生は、二人の手を強く握りしめたまま、しばし、離そうとはしなかった。

やがて、白樺小学校に、新学期が訪れた。
幸冶も、雪夫も、広子も、文香も、新鮮な気持ちで迎えることができた。
六年リンドウ組の担任は、どんな先生になるのだろうか?
クラスの誰もが、聞いていないという。
初めてのクラス会を待つより、ほかに方法はないのだろうか。
「全校生徒の皆さん、これから朝礼を行います。校庭に出てください」。
ひときわ大きな声が、校内放送で流れた。
ダダダダ、慌てて靴を履く音もする。誰もが飛び出していった。
校長先生が、壇上に立つ。
「これから、当校に着任された、先生を紹介します。上田太陽先生です」
皆のヒソヒソ話が、交わされだした。
「上田太陽です。また、この学校に帰ってきました。六年生になられた方は、よくご存じだと思います。皆さんが一年生の時、担任させていただきました。これから、共々に前進してまいりましょう」
昭夫は、幸治の袖をひっぱる。
「あの、太陽先生だ」
と、豊はささやく。
「さあ、静かにして」
と、コスモス組担任の、平塚先生が言う。
「予定として、今日は教室の清掃と、校内の草刈をお願いします。明日は、クラス会を開いてください」
「四年生は、学級委員長を、五年、六年制は、学級委員長、副委員長と、図書、放送、貯金、給食の、各委員を選出してください」
教頭先生の、甲高い声が、校庭に響いていく。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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