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短編小説・学級委員長物語2

短編小説・学級委員長物語2


                                 短編小説・学級委員長物語1



やがて、授業はたんたんと続けられていく。
ピーンと張りのある邦子先生の声が、窓の隙間から聞こえてくる。
終業の鐘がなる。
「やーい、やーい、こいつ立たされてやがる」
「本当だ、立たされている」
廊下を通る者は皆、視線を幸治の方に向けてから、通り過ぎていく。
これは、雲ひとつない青空が広がった、晩秋の日の出来事だった。
やがて、冬休みも間近に迫ったある日のこと、六時間目の授業が終わった教室での会話。
「山本君」
と、安福良一。
「何かね。安福君」
と、そっけない返事をする幸治。
「一度、僕の家に遊びに来てくれないか」
と、良一は言う。
「お前の家か」
乗り気の無い返事をする幸治。
「だって、今まで誰も、俺の家に遊びに来てくれないもんねえ」
良一は、真剣な顔をして言う。
「そういえば、誰も遊びに行ったという話をした者はいなかったなあ」
と、幸治。納得の言葉である。
「良一、お前は全然目立たないし、第一、陰気すぎる」
「本当は、陽気なんだが」
「顔色も暗い」
「やっぱり、来てくれないのか」
良一は、溜息をついた。
ふと、幸治は、良一のことを考えてみた。考えてやらねばいけない気になった。

そうだなあ、良一とは、どういうわけか、一年から四年まで同じクラスになったことがない。幸治は一年、二年がリンドウ組で、三年、四年がコスモス組だった。
五年になってリンドウ組になった。
良一はコスモス組、リンドウ組ときて、五年で同じクラスになった。
良一のことを良く知らない。目立たないせいもあるだろう。友達もいないようだ。
弟や、妹でもいれば、多少は、寂しさはなくなるだろう。
「いいよ、俺行ってやるよ」
「来てくれるか」
うれしそうな顔をする良一。
「だけど、誰も誘っていかないよ。俺一人でいく行けど、それでもいいかい」
と、念を押す幸治。
「うん、待っているよ。学級委員長」
「それはないだろう」
と言って、幸治は笑った。
それぞれが持つ個性の良さ。
幼いゆえに、分からないまでも、体当たりで続く交わり。季節のうつろいは、それを見守ってくれているようである。

やがて、高原に雪が降る頃となる。
時にはしんしんと、時には吹雪のようになる。
それは、学童たちを、心を乱した詩人のように、心を乱した画家のようにするものなのである。あまりにも波乱にとんでいる、そんな季節の中で、名作はうまれ、学童たちは、成長していくものなのである。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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