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短編小説・学級委員長物語1

短編小説・学級委員長物語1

夢花町の中心街を過ぎて、崖下に流れる清流を、斜めに見て、心地良い川風にあたりながら、車を走らせてみよう。
しばらくすると、はるか遠くに、白樺高原を望むことができる。
森林にさしかかる少し手前には、青紫のリンドウの花が群生していた。
リンドウ、幼き日の、思い出の花よ。
山本幸治は、この花が大好きだった。
石の階段を、一段一段上っていくと、木造と、一部レンガ作りの二階建ての、白樺小学校が見えてくる。
壮大なる自然と、ロマン漂う建物がハーモニーを奏でるのである。
町が必死になって守ってきた小学校ではある。
幸治が、小学校五年の時のことから、物語は始まる。
これ程までに厳しい、担任の、堀田邦子先生の視線を見た事はない。
この視線が、幸治の胸を突き刺した。
邦子先生は、本気で怒っているのだ。
もう、始業の鐘は、とっくに鳴ってしまっているのに、学級委員長の幸治や、山田昭夫、北田豊は、着席していないのだ。
邦子先生は、鐘と共に、教壇に立っていた。
「学級委員長は」
クラス中を見回してもいない。
「学級委員長はいません」
副委員長の、澤田雪夫が答える。
「山田君も、北田君もいません」
と川上文子が答える。
「どうしたのでしょうねえ」
邦子先生も、首をひねった。
「先生、どうしましょう」
澤田雪夫が、先生に問いかける。
「仕方がないですわねえ。副委員長の澤田君に、お願いします」
雪夫は立ち上がった。
「起立、礼、着席」
雪夫、初の代役を見事になしとげたのである。
邦子先生の、国語の授業だ。
「ハーイ、教科書を開いて」
ざわざわと音がする。
「今日は、宮沢賢治の童話の中から、注文の多い料理店を、勉強しましょうね」
邦子先生は、教壇を降りて、一歩一歩進んで教室の中ほどまで来た。
「皆は、宮沢賢治のことを、よく知っていますか」
そう言ってから、ぐるっと見渡した」
「ハイ、先生」
と、そう言ってから、日野広子は手を上げて立った。
「宮沢賢治は、岩手県花巻で生まれて」
広子の話はよどむことなく、流れていく。
その時、ドタバタ、ドタバタと、あわてて教室に入って来た生徒達があった。
昭夫が、
「先生」
と、呼吸するのも苦しそうに話しかける。
「授業は、とっくに始まっていますよ」
冷たくあしらう邦子先生。
「先生、ごめんなさい」
と、幸治も、豊も頭をさげる。
「今まで、何をしていたのですか」
と、問いかける邦子先生
幸治は、
「階段で、ジャンケン遊びをしていました。勝つたびに、階段を、一段一段上がって行く遊びです」
と、説明する。
「始業の鐘は聞こえなかったの」
「ハイ、あまりにも夢中になってしまって」
そう言いながら、頭をかく昭夫。
「許せませんね」
邦子先生は、幸治に教室を出て、廊下に立っているように命じた。
昭夫と豊は、注意を受けた後、着席するように言われる。
「待って下さい先生。僕が一番悪いんです。僕が勝ち続けていたから、引き止めていたんです」
と、昭夫。
「いいえ、学級委員長には責任があるのです。その責任を忘れている」
と、言って、再度退場を命じる邦子先生。幸治は、教室のドアを開けて廊下に出た。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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