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短編小説・永遠の処女15(了)

短編小説・永遠の処女15(了)


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あれから、季節は静かに移ろいで行く。
空蝉の、泣き止みぬれば、秋が来る。
やがて、真海の身体は抜け殻らとなって、この世から消えてゆくであろう。
二人は笑みを交わしていた。
「愛しき人、君の名は真海」
それは、やがて孝夫の眼前から消えて逝く対象を恋慕う、切ない叫び。叫び以外の何ものでもない。
孝夫は、真海をその手で引き寄せて抱きしめた。強く強く抱きしめた。
溢れくる涙で、もう何も見えない
真海は、抱き締められながら、彼の手を捜し求めた。孝夫の手は預けられたまま、重ねた手で、乳房をまさぐる真海。
「これで良いのね。これで良いよね」
と言って甘える真海。
孝夫は、また、泣き出した。
「真海、お前が好きだ、大好きだ」
絶唱は、病室を突き抜けて、天まで届いたのである。
看護婦さんが、何事かと飛び込んで来たものの、涙をハンカチで拭いながら、静かに退散していくよりほかになかった。
さようなら、永遠の恋人。
君が幻の世界へ消え去っても、誰も忘れたりはしないだろう。

あれから、幾年月が流れたであろうか。
孝夫の姿は、東京は、神田駿河台のキャンパスにあった。
一度は諦めた、学問への道。なかでも文学、詩歌の道は、彼を抜け殻から、前途あふれる青年に引き戻してくれたのである。
このキャンパスとも、もう少しでお別れである。
「孝夫さん、これからどうするの?」
学友も、なぜか気になって仕方がない。
「故郷に帰って先生になるんだ」
「じゃ、君の言っていた学問の道は?」
ともう一人の学友。
「うん、生涯学び続けることのように思えるようになったから」
その言葉は、二人へのお礼の言葉であろう。
あくる日、孝夫は、久しぶりに銀座に出てみた。
古き好き時代の、銀座は華やいでいた。
その中で、そっと優しく風が連れてきた人がいた。故郷から運んできた人ならなおさら良いではないか。
振り向けば君がいた。
「真海、真海」
帰ってくる笑顔まで、そっくりである。
「真海、真海」
と、孝夫は叫んだ。



(了)
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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