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短編小説・永遠の処女14

短編小説・永遠の処女14


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                                         短編小説・永遠の処女13



「わからないの、何が宝物なの」。
「あなたとの思い出」
真海は一歩さがった。
「全てをあなたに捧げても、良いと思っているのに」
真海は泣きだした。
「お前の汚れなき美しさを、この目に焼き付けて、俺は生きていく。そうでなければ、一人でなんか、生きていけない」
「私はきっと、忘れ去られてしまうわ」
真海は、溢れくる涙をぬぐった。
「思い出は、美しい程、行き続ける。そう信じていたい」
孝夫は真海の肩をゆすった。
永遠を忘れて現実しか見えない真海には、なぜか冷たすぎる言葉のように思えた。
「こんなにも、あなたを愛しているのに、抱いてももらえない」
嗚咽は、絶望へと変わっていった。限りある命が思索することを許さないのだろうか。

そして、次の日曜日。
うっとうしい梅雨が終われば、やがて季節は盛夏へと移っていく。
紫陽花が、やつれた姿を晒すのも、この頃のである。
少々のいさかいが、真海を何故か気弱にしてしまっていた。
「仕事が忙しいものね」
いやみを言ってしまった真海。本当は、もっともっとたくさん、会いにきて欲しいのだ。

夜更けて病室を抜け出した真海。
「孝夫さん、ごめんなさい。あなたを困らせたりして。心の中では理解していたのに。本当にごめんなさい」
「僕のほうこそ、うん、悪かったね」
電話から聞こえてくる声。真海の頬に一筋の涙が流れていた。孝夫の明るい声が、
何よりの良薬となったようである。静かに受話器を置いた真海だった。
盆も過ぎた頃のことである。
週刊太陽の初秋号に、特集記事が掲載されている。
記事の冒頭に、遠條真海と山名孝夫の、それは見事なツーショットの写真が見受けられるのである。
(命の炎を、燃やし続けて)と大書されている。
それは、美しくも薄幸の乙女が、青年の純粋な愛に支えられて、生命を長らえているようすが克明に記されているのである。
「真海さん言葉を」
「今までは、彼がいつも身近なところにいて、支え励まし続けてくれました。人は、命ある限り生きなければならない、ということも、短い人生になるかもしれませんが、悟ることができたと感謝しています」
「この後は」
「天国へ行ったならば、私は彼の幸福を見守っていきたいと思います」
カメラのフラッシュが続く。哀愁に満ちた乙女の笑顔ほど、美しいものはない。
記者は感激した。
記者は、このように文章をまとめている。

始めは、一瞬の愛からかもしれない。それが純情な心に育まれた時、やがて、永遠の愛への第一歩となるのであろうか。たとえ、美しき乙女の命の炎が燃え尽きてしまおうとも、この努力を惜しんではならない。
永遠の愛の為に、努めて励まし続けなければならないのである。

孝夫が私たちに教えてくれたもの、記者は、核心を突いているように思える。
それから、孝夫は時間の許す限り、病院へと通うようになっていた。
さすがに、以前のように連続して、夜を共にするということは、できなくなった。
それは、真海より孝夫にとっての試練だったようだ。
愛する人の傍にいてやれないもどかしさ。それが、孝夫自身を、どんなにか苦しめたか、計りしれない。日捲りを重ねてめくる日もあった。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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白浜砂夫の電子書籍




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