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短編小説・永遠の処女11

短編小説・永遠の処女11


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                                         短編小説・永遠の処女10



孝夫は晦日から正月を、家で迎えていた。母親は、何とも言えない、寂しそうな横顔に、言葉を失っていた。
「お前の家はどこなんだい」
厭味の一つも言ってみたが、返って息子が愛しくてならなかった。
「そんなにも、真海さんのことが好きなのかねえ」
溜息を吐きながら、座卓におせち料理を並べてみたのである。

真海から手紙が届いたのは、七日正月も過ぎた日のことだった。
私は、十八の青春を迎えて、孝夫さんにお手紙を届けます。
ここに、孝夫に宛てた内容を書いてみる。

真に、新しいこの世の青春。まだ、日記の一ぺージさえ手のつけぬまま、そのままそっくりの一年が、今、私にプレゼントされたのです。
日記の始まりは、あなたとの会話から初めたいと望んでいるのです。孝夫さんに、この一年、幸多かれと祈っています。それが又、私の幸福でもあるのです。
けれども、私一人で、この身の不幸と戦い、勝利を得る力を持っていません。あなたからいただく、愛の力で越えて行きたいと、ただただ、手を合わせて祈っている毎日です。
叶うものなら、この一年、命永らえて、自分の力で、自分の運命を開きたい。それが、
十八の新春を迎えた、乙女の決意なのです。ああ、なんと愛しき孝夫さん。
どうか強く生き抜いて、私を勇気づけて下さい。あなたの支えがなければ生きていけないのです。あなたの支えを受けて、自身の宿命を越えて、永遠の愛で結ばれたいと願わずにはいられません。

孝夫は丁寧に、折りたたんで、もう一度封筒にもどしていた。
「この手紙は、俺の宝物だね」
こんなささやきでも、なぜか、余韻が残っている。
それは、風もない、肌寒くもない、午後の、陽射しの中でのことだった。

真海は、先生の許しを得て我が家へ帰った。父は仕事先から帰っていなかった。
母、香織は台所で、料理を作るのに余念がない。
「お母さん、ただ今帰りました」
台所へ向かう真海。振り向いて
「お帰り」
そう言ってから、香織はエプロンで、涙を拭うのだった。
「お母さん、何作っているの」
そりゃもう、お前の好きなカレーライスに決まっているでしょう」
「本当、うれしい」
真海の顔には、笑みがあふれていた。
「孝夫さんも、カレーライスが大好きなのよ」
大鍋をのぞき込む真海
「そうだねえ、孝夫さんも好きだったねえ」
さびしそうに言う香織。遠條家では父親も、カレーライスが大好きなのだ。いい大人がと思うのであるが、食べ物のことになると、こればかりは何ともならない。大鍋が必要なはずだ。
「ねえ、孝夫さんを呼んでもいい」
香織に甘える真海。
「今日は、家族三人で食事しましょう」
譲れない思いをぶつけるように言う。
「いや、孝夫さんを呼びたい。以前だって四人で楽しく、カレーライスを食べたじゃないの」
真海も負けていない。
うなだれる香織
「孝夫さんは、家族じゃないからねえ」
「家族じゃなくても、いつも私の心の中にすんでいるわ」
と言った後、真海はイヤイヤをした。
「そこまで言うなら」
とうとう、香織は折れてしまった。孝夫が来訪するのと、父親が帰宅するのが偶然にも重なってしまったのである。孝夫は照れくさそうに挨拶をした。父親は、嬉しそうに挨拶した。彼を息子のように思っている、父、孝明であった。
女二人に挟まれて、サンドイッチのように小さくなっている父である。嬉しくて仕方がない。そこのところが、香織にはわからない。
真海と孝夫は横並びにしてテーブルに着くのだった。本当に仲の良い二人である。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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白浜砂夫の電子書籍




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