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短編小説・永遠の処女9

短編小説・永遠の処女9


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                                         短編小説・永遠の処女8



そして日々は流れて、晩秋の一日。
ハイビスカスの花が、あたり一面に咲き乱れる高台に来ていた。
孝夫は、ゆっくりと車椅子を押していた。真海は車椅子に身を任せて、二人はここまで来たのだった。
「車椅子とは、ちょっと大袈裟さね」
そう言いながらも、甘えたくて仕方のない真海。
紅い色は情熱の色、咲き誇れば心の奥に眠っていた激情が甦ってくる。
何て言って良いのだろうか。まるで魂魄がしばしの月日を与えてやろうとでも言うのであろう。孝夫への一途な恋心が、炎となって燃え上がる。私は生きている、こんな感触に浸ることができた。真海は孝夫の手を探していた。見つけると強く握りしめた。
「ありがとう、孝夫さん」
連れて来てくれた彼に感謝した。孝夫はされるがままに手を預けていた。
「何て温かいのだろう」
孝夫は言った。
「ねえ、孝夫さん、一つ聞いてもいい?」
真海は真顔になっていた。
「ああ、いいよ、俺で答えられることなら」
孝夫は立ち止った。
人間って、同じ人を来世も愛することができるのでしょうか」
と真海。
その目は孝夫に注がれていた。
彼は少し考えた。
「今世で命の限り愛した人なら、来世でも愛することができる様に思います」
言葉を捜しながら答えるのだった。
微笑みながら言う真海。
「そうねえ、あなたが居てくれから、毎日が充実していたわ」
言葉が続かないでいる。
「私は、孝夫さんを苦しめているのかしら?」
「どうしてそんなことを言うの」
「孝夫さんは若いわ、これから恋愛だって、一杯できるのよ」
溜息とも無念ともとれる真海の言葉だった。
ハイビスカスの柵を抜けて車椅子を押し続けて行くと遥か彼方に、水平線が見えてくる。
「いつか二人は、あの海の向こうまで旅をしようよ。貴女が行けなかった修学旅行を、私は、してあげなければいけないのだ」
孝夫は、水平線を指差すのだった。
真海は首を振りながら言った。
「もういいの、もういいのよ、孝夫さんがそう言ってくれるだけで満足よ」
それは、彼への労わりの言葉であった。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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