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短編小説・永遠の処女8

短編小説・永遠の処女8


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この人の微笑みは、誰も彼も幸福にしてしまうだろう。
「それでも、いいね、いいね」
岡田先生は相槌を打った。
「嬉しい言葉ですわ」
ひょっとしたら、そんな期待さえ抱きかねない先生の言葉ではある。先生は赤ん坊の誕生を素直に語れない苦しみ抱いて、来たに違いない。真海にとって一日でも長く生きることは、莫大な黄金を積まれるよりも、大切なことだった。
せめて、孝夫さんが高校を卒業する日まで、私の寿命を伸ばしていたい。
「生きたい」
声にならない呟きでも、岡田先生には聞こえた。
「病は気からって言うから、気力をなくしちゃだめだよ」
「先生ありがとう」
先生を見詰めて言った。
先生からこぼれた笑顔に、教室の奥まで、太陽の恵みが差し込んで来たのだった。

真海、三年生の春。五月も十日のことである。
真海は、自ら修学旅行の辞退を申し出ている。これは賢明な判断と言っても良いのだろう。
「心の中は、真海と旅をしている。そう信じていたい」
孝夫は真海の肩を軽く叩いた。
「魔法の杖に乗って付いて行くわ」
微笑みながら言った真海。

やがて季節は秋。孝夫は、何かに脅える様な、恐れる様な、そんな感情を持つようになっていた。やがて来るX日。それは、孝夫と真海の永遠の別れの日でもある。
いや、そんな先のことなど考えたくもない。孝夫の頭をよぎるのは、ほんの先のこと、
やがて、入院しなければならなくなる日が、間直かに迫るっているからだ。
真海と一緒に勉強できなくなったら、二人の仲は、ジ・エンドになってしまうのだろうか?
彼女に、宿題を助けてもらった日々。それはもう、二度と来ない過去になってしまうのか?
案の定、運動会に真海の姿はなかった。真海の居ない運動会がどんなに寂しいものであったか、述べておきたい。
クラス委員の和夫を除いて、孝夫をはじめ三年生の男子生徒全員が欠席すると言う、前代未聞の出来事となってしまったのである。別に、示し合せた訳でもない。
さて、遠足はと言うと、どういうことになったのであろう。
今度は、入院している真海を、医者や看護婦の制止を振り切って、遠足のバスに乗せてしまったのである。各々が病院に迎えに行ったと言うのが真相のようである。
真海は、たまらなく嬉しかった。彼女が愛用している絹のハンカチ、ハンカチも泣いていた。しっとりと濡れている様な古都・京都の旅だった。
北原先生は、真海に傘を差しかける。
「先生ありがとう」
以前と少しも変わっていない、彼女の笑顔が、堪らなく嬉しい先生。
「会えなくなって始めて知った貴女の魅力、私も含めて」
北原先生の溜息が、孝夫や和夫にも聞こえて来たのである。
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まとめtyaiました【短編小説・永遠の処女8】

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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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白浜砂夫の電子書籍




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