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短編小説・永遠の処女3

短編小説・永遠の処女3


                                         短編小説・永遠の処女1

                                         短編小説・永遠の処女2



ランチは彼女が用意してくれた。
孝夫の膝の上に絹のハンカチーフをおく。
手作りのサンドイッチがなんとも言えない見事さである。
「レモンティーはどうです」
「えっ、どうして、ぼくの好きなものを」
「コーヒーよりレモンティーが好きなあなた。そんな孝夫さんを想像してみたの」
「レモンティーってどこか初恋に似ているね」
孝夫は言葉を返した。
「レモンティーにはサンドイッチがよく似合う」
真海は言葉を返した。
二人はよく語りあった、よく笑った。二人だけしかいない草原。
小川のせせらぎが少し羨ましそうに、おいでおいでと言っていても、行く必要などない。心と喉元は満たされていく。それは、風がそっと優しく頬をなでていく季節のことだった。
さて、長い夏休みを二人はどう過ごしたのであろうか。
湿気が少ない暖かい風土が生かされる季節。それが今である。
地元の人達なら誰でも働き盛りの季節であることをしっている。
少年少女達は家事にかり出されていく。

太平洋が一望できる高台より、遥かかなたの海を望めば、小型船が何台か煙を上げて通り過ぎて行く。時にはタンカーが通り過ぎて行くこともある。
孝夫は一人ポツンと海を見詰めていた。真海は祖母の待つ、母の実家へ行っているようである。
どうも毎年恒例の事らしい。
「伊吹山の麓の町だよ」
としか教えてくれなかったのである。
どうも真海の体質に合っているようである。
火照るような熱き感性が程よくゆっくりと、そっと冷ましてくれるような、風と森の優しさがあるようだ。山を仰ぎみれば心がおおらかになるという。真海は満たされた思い出で宿題と休息の日々を重ねていった。
お盆も過ぎある日のこと。真海は体調の異変に気が付くのだった。どうも疲労の回復がはかばかしくないのである。以前なら遊び疲れても、一晩ぐっすり眠りさえすれば、爽やかな朝を迎えられたのである。だるさが抜けきらないのである。
真海は一抹の不安をかんじた。

「真海、どうしたの」
祖母が心配するようになったのもこの頃からだ。生まれ出る悩み。
この深きものの為に、物語は作られるのである。
羽豆岬から伊勢、志摩を見渡して、渡りたいけどわたれない篠島、日間賀島。フエリー乗り場から、泣く泣く恋人を島へ帰した日。『未練の波止場』も泣いていた。
そんな、思い出を持っている父、孝明。
父にはそれなりの愛と涙と別れがあるのだ。
娘の真海にはこんな悲しい思いはさせたくないとおもうのである。
さて、冬休みといえば、なんといっても餅つきが忘れられない。
山名孝夫の家では、杵でもち米、ぺッタンコ、ぺッタンコとついている。これは家族総出で、大変な行事なのである。熱々の餅にきな粉をつけたり、ぜんざいにして食したり、もうこれは贅沢と言うべきであろう。真海は前前日、孝夫から聞きだしていたので、内緒で訪問したのである。
孝夫は一瞬と惑ったけれど、父親と母親の喜んだこと、喜んだこと。
まるで、娘が出来たみたいにはしゃぎ回るのである。
「お父さん、焼き餅が膨れていますよ」
と孝夫が言う。
「あら本当だ、おとうさん」
真海は答えた。
縁側に腰掛けて、お父さんと仲良く食事をする真海。
冬の陽射しはことのほか暖かかったようである。
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まとめtyaiました【短編小説・永遠の処女3】

短編小説・永遠の処女3                                         短編小説・永遠の処女1                     ...

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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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