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短編小説・鹿鳴館の淑女たち2

短編小説・鹿鳴館の淑女たち2


                                                 短編小説・鹿鳴館の淑女たち1


さて、鹿鳴館と言えば、明治十六年、十一月二十八日。
午後十時半より、開館を記念する祝賀夜会、舞踏会が行われたのである。

鹿鳴館は、当時の金で、十八万円の大金を投じて建てられた、イタリア、ルネッサンス様式の洋館であり、イギリス人の建設技師の設計によって建てられた。
これには明治六年に来日し、工部大学校の教頭、教授を九年間勤め、近代工業技術教育の確立、発展に貢献したイギリス人ヘンリー・ダイアの活躍があった。
イギリスの産業革命を遂行し十九世紀の大英帝国の繁栄を支えたのは、スコットランド人の啓蒙主義であり、それを経験し現場で学んだ、教師や技師たちであった。
グラスゴーより、世界へ、明治の日本に送り込んだ、技師や教師たち。
その中心をなしたのがグラスゴー大学であった。
かの伊藤博文も当初はイギリス型の社会作りを目指していたのである。
日英同盟から今年で百十年になる。
今再び見直される時が来たのかもしれない。
鹿鳴館はやがて、舞踏会、晩餐会、仮装パーティーなど多彩な企画が行われる様になるのである。
ある意味では、鹿鳴館とは、イギリスやフランス、ドイツやアメリカのとの外交の場であり、古くからある教育と、近代教育への転換、武士、藩の古い勢力と新たに台頭して来た官僚との対決の場であり、いずれにおいても、その主戦場となる悲劇を持つ事になるのである。
活躍せよ、鹿鳴館の貴婦人、淑女たちよ。
あなたたちが煌きだした時、夜の幕は降りるのだ。

明治と言う時代を、教育と文化を中心に見詰めてみたい。
時代を代表する教育家といえば、啓蒙思想家の福沢諭吉。
初代文部大臣を務めた森有礼であろう。
女子では下田歌子や津田梅子、捨松伯爵夫人ではないだろうか。
梅子は言った。
「私は、国費留学生として派遣させて下さった、国の大恩になんとしても報いなければならないのです」
彼女を推薦した、先の天皇、孝明天皇の正室、九条あさ子は黙って肯いた。
梅子を駆り立てたものは、報恩であったのか、使命の二字であったのか。いずれにしろ、広く世間に知られた生き様ではある。
さて、梅子の言う留学とは、岩倉具視の欧米への、遣外使節団である。
使節団が横浜港からアメリカに向けて、出発したのは、明治四年十二月の事であった。
その中に、上田貞子十四歳、吉益享子同じく十四歳。山川捨松十一歳、永井繁子七歳、
津田梅子、同じく七歳の五人であった。
捨松、繁子、梅子は、ザ、トリオと言われて、黎明期の教育界で大活躍するのである。
本当に幼い少女たちであったけれど、実に重たい使命を帯びた旅立ちであった。

京都、それは千年の都。
菊花、それは千年の愛と悲しみの香りを残して今に咲く花。
菊は中国から伝わり、千数百年を越えるその長い歴史の積み重ねから、伝統的な和菊が分化した。
和菊の中で、アワコガネギクは、内陸に咲く黄色い野菊。
アワは泡の意で黄金色をした直径一・五センチほどのやや小ぶりの花が、多数びっしりと
群がる様子を例えて、牧野富太郎博士が命名した。
別名の、キクタニギクは、京都の東山に『菊が渓』や『菊渓』(きくたに)と呼ばれ
群生していたのに因む。葉は薄く、地下茎は短い。菊には、菊水や、菊の露の様に、長命の悲願が込められている
その、悲願そのままに、愛と悲しみと、憎しみを、クロスさせながら今年も花は咲くのである。
さて季節はと言えば、仲秋から晩秋にかけて、春の佐保姫に対比する、晩秋の龍田姫の頃。
ああ、思い出せば、山河の輝きよ。浮かべれば月の光よ。
歌子は今、故郷への感傷に浸っていた。
名画の如き故郷の山河よ。
岐阜の岩村は、歌子にとって、瞼に焼き付いて生涯消える事がなかったであろう。
故郷を出た時から覚悟を決めた人生だった。
当時、岩村には、優れた寺子屋が四つほどあった。
この地域の伝統的な、勤皇思想と、向学心を大切にする生き様から推察するに、ほぼ適齢期の子女全員が学んでいたと言ってもいいだろう。
また、岩村には秀でた藩校もあった。
歌子が、その中の一人であったかどうかは、知る術もないが、正に優れた教育環境にあったのである。
故郷の山河よ、お前は偉大なる師匠なり。
たくましき父よ、愛しき母よ、懐かしき友柄よ。
あなた達は真に秀でた教師なり。
例え百人の優れた先生を集めた所で、お前たちには適わないだろう。
歌子は、思索を重ねるのである。
人は理想を持たねばならない。
理想を持たない人生は、羅針盤を持たない、旅客船の様なものだ。 
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短編小説・鹿鳴館の淑女たち2                                                 短編小説・鹿鳴館の淑女たち1さて、鹿鳴館と...

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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




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