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未来短編小説・左大臣様はミュージックがお好き2

未来短編小説・左大臣様はミュージックがお好き2



                                未来短編小説・左大臣様はミュージックがお好き1


「オーラ、オーラ」
とポルトガル語で挨拶するタンゴの太政官。
山路の局。その内から発して来る激情に圧倒されそうになる。
「タンゴ、それは情熱の曲(しらべ)、タンゴ、それは民衆の作った人間讃歌のミュージック」
とタンゴの太政官。山路の局の耳元で囁く、その言葉は、まるでプレイボーイの名セリフのように思えてならない。
「まあ、タンゴの太政官様は、何て情熱的な方なのでしょう」
と言ってうっとりとするのである。
「口説いてもいいですか?」
と耳もとで囁く。
「どうぞ、どうぞ」
と頷く山路の局。危ない、愛が危ない。タンゴの太政官の狙いはどこにあるのであろう。
腹の内はどうも、山路の局の助力を得て、左大臣様を巻き込んで、大歌劇(オペラ)場を作って貰おうとの魂胆のようである。それも、三~五ぐらいではない、二桁の数なのである。
山路の局の運命は如何に?

おお、夢の都、夢のフランス。そして、憧れのパリ。
パリの空にシャンソンは流れて、あの人の心を知る。
中川の局が,シャンソンの太政官との恋に落ちたのも、当然といえば当然なのかもしれない。
フランス貴族の流れを汲む、すらりとした長身の伊達男ときている。
「貴公子様、貴公子様」
と言って事務局の高級女官達も放っておけない存在なのである。
「愛、それは私とあの人の為にある」
と高級女官。
「ああ、夢のフランス、憧れのあの人。それらは、私だけのもの」
と別の高級女官。
中川の局の心労は当分続きそうである。
山路の局が、タンゴの太政官との愛を育んでいることは、直属の上司である東山の大納言を始め、左大臣様の知ることになってしまったのである。
「タンゴといえば、黒猫のタンゴかねえ?」
と大納言。
「いえいえ、アルゼンチンタンゴですわ」
と山路の局。
「そうか、マリア、モーレスや、ルベルト、ラモスが活躍した国があったな」
と大納言。
「大納言様、大変ずれています」
と山路のつぼね。
「何がだ」
と大納言。
「前世紀の話ですわ。それらは」
「うーむ。こりゃまいった、まいった」
と大納言。
果たして、芸術クラブのトップが務まるのか、心配になってきました。
「大納言様って本当にいけない人ね」
と言って嘆く山路の局。
「そうか、そうか。わっはっは」
と言って一向に気にする様子もない。

小さな声による会談でも、適度な音声に調整されて、世界中に発信されるのも、二十二世紀のなせる仕業であろう。
左大臣様とワルツの太政官との二人だけの秘密の会談はいけません。むしろ、秘密の会談は秘密でなくなり、オープンなバーチャル会談は、後で秘密の会談になったことが多いのです。
「秘密、秘密の会談」
とワルツの太政官が言えば、高級女官が、逆に意地悪して、オープンのボタンを押してしまうのです。
「オープンなんて詰まらない。秘密のあっ子ちゃんが大好き」
と口癖のように言っているのですから。
「左大臣様、世界の人民よ、ショパンを弾こう。というキャッチフレーズは如何でしょうか」
とワルツの太政官。
「ショパンの、ピアノ協奏曲でも弾けと言いたいのだな」
「ハイ、正にその通りです」
とワルツの太政官。
「ピアノねえ。もしもピアノがひけたなら?」
と左大臣。
「ハイ、ショパンは偉大なピアノの演奏家です。詩情豊かで、想像力溢れる感性から飛び出してきた、名曲の数々は、ショパンの前にショパンなし、ショパンの後にもショパンなしと思うのです」
「まるで、ショパンばっかりだね」
と左大臣様。
「ハイ」
「でもねえ、ピアノを弾ける世界の人民は非常に少ないからねえ」
と左大臣様。
「はーあ、それが何か?」
「だからさあ。ここは、世界の人民よ、ショパンを聞こうよ、というキャッチフレーズでいこうと思う」
と左大臣様。
「成る程、弾こうでなくて、聞こうということですね」
「そうだ。そうすれば、世界の人民は大いに納得するというものだ」
と左大臣様。
「成る程」
ワルツはウィーンで発達した円舞曲。舞踏に適していると、語り継がれている。
「左大臣様、ここは一つ、大歌劇(オペラ)場建設構想をぶち上げましょう」
とワルツの太政官。
「人気取りか?」
「ハイ」
左大臣の瞼にうかんでくるのは、鹿鳴館の舞踏会であった。
「ご先祖様」
と囁くのである。
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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

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白浜砂夫の電子書籍




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