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短編小説・女は強く生き抜いて華になる2

短編小説・女は強く生き抜いて華になる2


        短編小説・女は強く生き抜いて華になる1


愛と誇りに満ちた人生の旅、その二

人生の旅路よ、愛の旅路よ、短くも、儚い、旅路になろうとも、命の限り、強くたくましく、精一杯生きたなら、生き抜いた本地で、美しい華と詠われるであろう。
詠え、人生の賛歌を、詠え愛の賛歌を。
与謝野晶子に代表される、明治の文化、文学が追い求めたもの、それはなんであったか。
北白川教夫の小さな旅は、和歌とは何なのか、文学とは何なのか、文化とは何なのか、とまで大きくは言えないが、小さな旅を重ねて生き抜いた人生だったのであろう。
和歌、文学の世界にも、師匠は必要である。
心の師匠でも構わない。
若しかしたら、明治の女流文学が傑出しているのは、実の師匠を心の師匠と決めて、心の恋人よ、心の夫よと、思い詰めて生きた日々が作り上げた、傑作の連続であったのかもしれない。
和歌を通じて、名実ともに与謝野晶子と親友であった、九条武子。
九条武子の師匠は、佐々木信綱。
歌誌『心の花』を創刊。
愛と誇りと、愛と苦悩の中で、名作は生まれる。
教夫が舞鶴、天の橋立から、久美浜に至る少さな旅から帰って来のは、五月十五日、日曜日。
京都、葵祭りの五日前のことである。
おいてきぼりを食った、歌の路綾子の怒ること、怒ること。
「先生のこと、好きにはなれません。でも嫌いにはなれません」
「解りにくい人だね。勝手にして」
と言ってお道化たボーズをとる教夫。
「それで先生、なにを調べて欲しいのですか」
「うん、九条武子が心の師匠とも言える佐々木信綱にあてた手紙の内容の一部だが」
と言って、古書の一ぺージをみせるのである。
内容を読み上げる。

東京では、あの焼け埃りの大火災、厄災中を駈け歩るきまして忙しい思ひを致してをりましたが、
つい気の毒な方達を見ますもので、それも、自分は法悦の心持で、働かせてもらってをりました。
今日は、こうして懐かしい故郷(京都)に帰り・・・

と、心情溢れる手紙の内容は更に続く。
「先生、恋文?それで?」
「まずな、この大火災が、どんな大震災で、いつが期日なのかを特定して欲しいんだ。何事もそこからだ。出来るか?」
「そうですね・・・先生。やってみます」
こんな、会話の中でも音楽は流れる。
五月の風が連れてくる甘く切ない恋の歌が・・・。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

tag : 与謝野晶子 文学 文化 女流作家 明治

[新連載]短編小説・女は強く生き抜いて華になる1

短編小説・女は強く生き抜いて華になる1


愛と誇りに満ちた人生の旅・その一

明治時代を強く明るく生きた女流作家達の生き様。
それは、旅行というほどのものではなかった。
まして吟行と云う程のものでもない。
何を思いたったか、そう、ほんの小さな旅であった。
「先生、先生」
と、後ろ姿に掛ける声。
歌の小路綾子。
綾子は追いかけて来たのだ。
「もう、付いて来るなと言っただろう、吟行と云うほどのものではないんだ」
そう言う、北白川教夫。
その言葉には、人生に疲れたというような響きがあった。
「先生の言う小さな旅ってどんな旅なんですか。二十歳を過ぎても、十九の青春(はる)のままでいたい私には、よく理解できませんわ」
「まあ、思索を重ねる旅と言っておこう。書斎に閉じ籠って、原稿用紙と睨めっこしているだけでは、深みの有る良い小説は書けないからねえ」
「十九の青春のままでいたい私には、理解できない先生の行動・・・怪しい」
「もう、本当に困った奴だ。それに、十九の青春にこだわるのはどうして何んだ」
「樋口一葉も、与謝野晶子も、十九歳を過ぎてから、大きく花開いて開いて来ましたわ。先生の好きな作家一葉と、晶子。二人の十九歳が、私に言わせるのよ」
「困った奴だ。愛に酔っている。愛とはそう言うものではないだろう」

北白川教夫が、敦賀を越えて、小浜、舞鶴、久美川に至る、小さな旅を思いたったのは大きな理由などない。
奥京都を巡る小さな旅にも似ている。
ふとひらめいて、旅に出ただけのことである。
「お前が、十九歳より歳を取っていないと言うなら、そう言い続けろ」
教夫は、女性とは、よく理解できない不思議な人物だと思うのである。
明治という時代が、傑出した女流作家を多々作り出したのか。
明治時代をリードし偉大なる明治時代を作り上げたのは、案外、この女性達なのかも知れない。
思索を重ねて、歴史を訪ねて、教夫の小さな旅路は続いていく。

テーマ : 自作連載小説
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tag : 女流作家 文学 与謝野晶子 明治 文化

短編小説・鹿鳴館の舞踏会・心曲(了)

短編小説・鹿鳴館の舞踏会・心曲(了)


        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・序曲
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第一楽章『問題提示』1
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第一楽章『問題提示』2
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第二楽章『主題提示』1
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第二楽章『主題提示』2
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第三楽章『展開提示』1
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第三楽章『展開提示』2
        短編小説・鹿鳴館の舞踏会・第四楽章『震動提示』1


「我が故郷は世界」
と、誰が語ったか。
誰がそれを、如何伝えたか、それを今では知ることは出来ない。
鹿鳴館の舞踏会。
紳士、淑女の踊る手と手を結んで伝えられた心の声よ、心のリズムよ。
それが、舞踏会というものである。
鹿鳴館の華と詠われた捨松夫人。
鹿鳴館のクジャクと詠われた下田歌子。
やがて、ドイツ、ヨーロッパ留学から帰国して鹿鳴館のスターとなった若き日々の森林太郎(鴎外)。
ウインナーワルツのリズムに乗せて踊る舞踏会。
そこには、愛と憎しみと悲しみを超えて、踊り明かす人々がいたのである。
「差異、差別を求める政策だけが、先進国の政策であり、先進国の思想とは思いません」
誰が語り、それをどの様に色付けして、世界に伝えられたか。
新たな歴史を作ったとは言わないが、歴史には、漆黒の闇があることを知らなけれならない。
此処は、五条川の川の辺り、喫茶・鹿鳴館。
「詩歌にも、音楽にも光と影、あるいは二面性がある。求めて、オブラートに包むように利用するなら、それも才覚というものである」
と語る、九条喜一郎。
頷く、常連客の有識者と言われるその人がいる店。
それが、喫茶・鹿鳴館だ。
此処の女店主は美人で艶ややかである。
喜一郎、茶目っ気たっぷりに、
「踊りましょうか」
「ダンスは上手く踊れない」
と答える、女店主。
「ダンスは、リードする人が上手いなら、様にはなるよ」
と言う喜一郎。
気さくに入れる店である。




(了)


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プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




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