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短編小説・恋愛学入門9

短編小説・恋愛学入門9

                    短編小説・恋愛学入門1

                    短編小説・恋愛学入門2

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                    短編小説・恋愛学入門7

                    短編小説・恋愛学入門8


日々は流れる、思い出を作り。
末来への希望を乗せて、流れる詩歌も道ずれにして。
弟子の藤田湖水は歌う。
歌はロシア民謡、ボルガの舟唄。
母なるボルガの大河は歌う。
ロシア民族の魂は、人間賛歌の父なり。
湖水は、歌い続ける。
誰も居ない教室で。
ピアノはない、オルガンもない、こんな教室で、何がそうさせるのか。
歌太郎は、今ここに居ないけれども、聞いても叱りはしないだろう。
思い出がそうさせるのだろう。
愛に傷ついた心が、そうさせるのだろうか。
詩歌人である歌太郎は、認識しているはずだ。
ロシア民族のスケールの大きさと、偉大なる魂は、人間賛歌の故郷なのだ。
「あのチャイコフスキーが、愛してやまない国だから」
と、口癖のように語っている、そんな先生だから、弟子も弟子なら、先生も先生だ。
「まあ、上手いわ、来る所を間違えたんじゃない?」
外出先から帰ってきた春子は言う。
「聞いていたのか?」
「聞こえたのよ」
その頃、緑子は、胸の騒ぎを覚えていた。
もともと、歌太郎は、ふと、寂しそうな顔をすることがある。
それはそれでいいと思う。
相手の心の奥底まで知ろうとしないのが、一つの生き方であると信じてきたからだ。
ふと、歌太郎が漏らした溜息、溜息は、緑子の胸に突き刺さったことは間違いない。
土曜日の午後は、緑子にとって、過去を回想する時間でもあるようだ。
日曜日の朝が来た。
「さあ、歌太郎さん、ドライブに行来ましょうか」
「そうだね。それがいいんね」
緑子は、助手席に座った。
「いいね、出発するよ」
「どこへでも、どこへでも、連れて行ってちょうだいね」
「オーケイ、行くぞ」
車は、走り出した。
徐々に加速して行く。
ぺだるも軽い。
「緑子さん、元気ないみたいだけれど・・・」
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

短編小説・恋愛学入門8

短編小説・恋愛学入門8

                    短編小説・恋愛学入門1

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                    短編小説・恋愛学入門6

                    短編小説・恋愛学入門7

詩人は、愛の旅人、愛に彷徨いさすらう旅人。
「先生が愛した人って、どんな人なんでしょうね」
歌太郎を困らせる菊子。
「実はねえ、一通の手紙が来ているんだよ」
「手紙、彼女から?」
「そうだよ」
そう言って、机の引き出しから手紙を取り出してみせる。
「時々、来るんですか?」
「いや、違う。何年振りかだね」
菊子は、不思議そうな顔をする。
「私にもよく理解できないが、きっと、心が旅をするんだろうね」
「もしかしたら、自身の心に踏ん切りをつける為に・・・」
と、菊子。そう思ったのだ。
「女性の方って、そう言うことを思うものなんですか?」
と、菊子に聞いてみる。
「多分、そうだと思うんですが・・・」
「嫌いで別れたんじゃないんだ。むしろ大好きだった」
「じゃ、どうして、別れることになってしまったのかしら」
悲しそうな顔を菊子。
「結婚する気にはなれない、と言ったんだよ」
「どうして、どうしてなんですか!」
それは、検事の審問にも似たものだった。
「きっと、愛の深さに怯えてしまったのでしょうね。彼女には言えなかったがね」
歌太郎もそうであったが、『俺なんかが、この人を幸せにしやることはできない、できっこないんだ!』と言う思い。
そう言う思いを持って生きた壮年に、時々、巡り会うことがある。
そんな時は、こう言っている。
余りにも、愛し過ぎたんだよ、程ほどでいいんだよ。
「まるで、蛇の生殺しのようなものね」
「はっきり言わないそのことが、私の罪、愛の罪だったのかもしれない」
愛にも罪があるのでしょうか。
語ったあと、コーヒーカップに手をとった菊太郎だった。

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短編小説・恋愛学入門7

短編小説・恋愛学入門7

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                    短編小説・恋愛学入門5

                    短編小説・恋愛学入門6

手紙、心が旅をする愛の旅人。
寂し過ぎるよ、詩歌人の心は。
泣かないで、嘆かないで、命ある限り、末来に向かって旅を続けて行こう。
歌太郎は、読み終えた後、そっと机の上に置いた。
あの人は、あの人は、今も、歌太郎のことを、忘れられずにいるのだろうか。
そんなはずはない。
きっと、自身の過去を問いかける旅に出かけてみたくなったのだろうか。
女性は、愛の旅人、いつもそれを魂の中に宿している。
一週間と言うものは、短くもあり、長くもある。
待つ身には辛い日々と言わざるをえない。
朝、緑子から電話があった。
日曜日には、一緒にドライブに行けそうだと、そう言うのである。
少し、ホッとした歌太郎。
そんな、金曜日の午後のこと。
歌太郎と菊子は、机を挟んで向き合っていた。
二人は、世界吟遊詩人アリゲルの『旅にある人へ』の詩が大好きだ。
『私はあなたの愛しい人になりたい。あなたの力に、爽やかな風に、日々の糧に。』
こんなにも、素朴な、訴えがあるのだろうか。
何と言うこだ。
明るくて、軽快な歌声になってしまうではないか。
歌太郎と菊子は、時々、詩集編纂の手を休めて口ずさんでいる。
「コーヒーでも入れましょうか。先生」
「ああ、どうもありがとう」
菊子は、事務室の奥にあるお勝手場に向かって席を立った。
「ねえ、先生」
「菊子さん、なにか」
「先生は昔、愛した人がいたと、そう言ってましたね」
「ほう、またどうして」
「何故か聞いてみたくなったの」
「そうねえ、あの人は、あの人は、うん・・・大好きだった」

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短編小説・恋愛学入門6

短編小説・恋愛学入門6

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                    短編小説・恋愛学入門5

こんな静かな小雨の降る日曜日があっていいのだろうか。
緑子は、定例の茶会に出かけていった。
そう、緑子は華道のある流派の師範代を務めるようになっていた。
余りにも美しい美貌が、世間がほおっておかないのだろうか。
デートは又の機会になりそうである。
では、歌太郎の詩集の編纂はと言うと、賀陽菊子の協力を得て順調に進んでいる。
私塾には、静寂があった。
窓から見る庭に咲いた沈丁花の花は、まるで潤んでいるようだった。
花は、優しいから何も言わないけれど、花は、語り掛けたい人を、追い求めているものなのだ。
千里を超えて香る、沈香と丁字の匂い、まるで愛しい人に届けとばかりに生き生きとしている。
こんな花のことを、熱っぽく語ってくれた彼女も居た。
その人の名は、志摩伊勢子と言う。
どこかに、覚悟している節があると感じられてならなかった。
やがて来る別れの時を、予感していたのだろうか。
伊勢子は、本当は必死だったのかも知れない。
それを、受け止めてやることの出来ない歌太郎であった。
今は、面影の中で存在している人。
その、面影は、七年前のそのままなのだ。
前日の土曜日に、届いた一通の手紙がある。

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短編小説・恋愛学入門5

短編小説・恋愛学入門5

                    短編小説・恋愛学入門1

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                    短編小説・恋愛学入門3

                    短編小説・恋愛学入門4

歌は流れる、流れる詩歌、日々も流れて。
人は、貴女は、何を語りますか。
「先生、こっちよ」
夏珪春子が、手をかざして呼んでいた。
歌太郎は、店を見回してから、春子を見つけることができた。
夏珪春子、最近、歌太郎の私塾に加わった一人である。
同じ頃に、私塾に加わった一人に、藤田湖水がいる。
何を求めて、この私塾に集まってくるのか、歌太郎先生は聞こうとはしなかった。
愛と憎しみの間(はざま)で、あるいわ、愛と憎しみを超えて、人間賛歌の詩歌を高らかに歌い上げたいと言うのであれば、それこそ、人格のなせる業と言えるものだと考えるからである。
「いたいた」
歌太郎は、微笑んで言った。
「もう、先生ったら」
春子は膨れて見せた。
「御免、御免、待たせた」
「いいの、ほんの少しだけだから」
歌太郎は救われたような気がした。
この町、春子が生まれ育った町。
小さな町には、珍しいくらいの大きな喫茶店だ。
テーブルも、一つ、二つ、三つ、数えてみる。
十五卓以上はあるだろうか。
お客さんも、そこそこには入っているように見えた。
「先生、何になさいます」
「そうだねえ、アメリカンにしようかねえ」
「私も、いただこうかしら、ねえ」
「ああ、どうぞ」
「失礼します」
ウエイトレスが声を掛けてきた。
水とおしぼりが、手際よく差し出される。
「何に致しましょうか」
「アメリカン、二つ、モーニングサービスでお願いします。それにサンドイッチ」
「はい、わかりました」
ウエイトレスは、深々と頭を下げて、引き下がっていった。
「先生」
春子は、歌太郎先生を故郷の町に誘った訳を話し始める。
何でも、先生に知っておいてもらうのも、それも、弟子の道だと言うのだ。
成程と言うよりは、古風と言うべきである。
師弟の道、孝養の道、修行の道、教育の道、と道論争の好きな人である。
「昔、全ての道はローマに通ずると、教えてくれた先生もいたな」
と、歌太郎先生。
「そうねえ、全ての道は、魂が誘う道、人間賛歌の道」
その後、何と言ったかと言うと、わが魂魄(こんぱく)、が先生を此処に連れてきましたと、そう締めくくるのである。
誠に、不可思議な人が、また一人加わったものである。

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ジャンル : 小説・文学

短編小説・恋愛学入門4

短編小説・恋愛学入門4

                    短編小説・恋愛学入門1

                    短編小説・恋愛学入門2

                    短編小説・恋愛学入門3

あれから、三日後のことである。
歌太郎は、緑子に誘われて車でドライブに出かけた。
車中での会話は、延々と続くのである。
話は、歌太郎と賀陽菊子の会話に移っていった。
二人の会話を聞いていた様である。
いや、聞こえていたのかもしれない、小さな応接室兼事務室にまで。
「歌太郎さんが、恋愛学、学問としての恋愛を、研究したいと言いいだしたのは、彼女の存在があるようですねえ」
「まあね。恋だの愛だの色々言うけれど、結ばれると言うのは、それだけではない何かがあるように思われてならない」
「それが、歌太郎さんの言うところうの永遠への憧れですか」
「うん、過去、現在、未来へと続く、永遠のロマンス。魂と魂で結ばれる壮大なドラマ、それが、ミクロン単位にも及ばない、生命、生命体、にあるとするならば・・・」
「それこそ、歌太郎さんの言うところうの永遠のロマンスですわ」
永遠から永遠へ、さらに永遠へと続く、宇宙の果て、ある人は、それを詩に、ある人は歌謡に託し、高らかに歌い上げる。
「うーん、歌太郎さんて、やっぱり、不可思議な人ね」
車でのドライブは楽しい。
まして愛しく思う人と一緒なら。
車は、城下町を過ぎて、小さな田舎町に差し掛かった。
昔、戦国武将が、覇権をかけて戦った町は、今は、寂れた町でしかなかった。
「緑子さん、ちょっと待ってて」
歌太郎は、古本屋を見つけたのである。
「まあ、相変わらずねえ。少しも変っていない」
緑子は、苦笑いしながらも、それを許した。
歌太郎は、漢語林と広辞苑と、よしあし草二十七号と言う明治の文芸雑誌を買った。
よしあし草と言う雑誌には、鳳しょう、後の与謝野晶子が、詩歌を発表していたし、当時無名の永井荷風の小説も掲載された雑誌だ。
これは思わぬ拾いものだった。
「あら、大層ごきげんですこと」
緑子は、車を降りて迎えた。
「うん。今日はごちそうするよ」
嬉しそうに、緑子の肩をポンと叩いたのである

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ジャンル : 小説・文学

短編小説・恋愛学入門3

短編小説・恋愛学入門3

                    短編小説・恋愛学入門1

                    短編小説・恋愛学入門2

とある日のこと。
それを、歌太郎と吉永緑子が書斎で語り合ってから、半月が過ぎた頃と認めておこう。
場所はと言えば、歌太郎先生が開設した、文学の私塾でのことである。
二人の会話。
「波長が合うって言うけれど、文学的に捉えれば、どういうことになるのかなぁ」
と、先生は問いかける。
相手は、賀陽菊子である。
先生の最初の弟子、生徒でもある。
先生の自宅を訪れて、菊子は求めて先生の弟子になった。
今は先生の最も信頼する高弟である。
菊子は、先生が、詩人・歌人であった頃を知らない。
新進気鋭の作家として変貌した時代に愛読者になったのである。
注目に値する人物であったのであろう。
菊子が、緑子の恋のライバル、愛のライバルになるのか、今後のドラマの展開に任せるとしよう。
さて、その菊子であるが、どちらかと言うと、山川登美子型の静春派と言うよりは、与謝野晶子型の激情派と言うべきであろう。
激情、それは、文学、詩歌の世界で生きていこうと擦る者にとって、必要な条件だと考える先生であった。
その文学に対する激情を持つ菊子の出現に、新しい時代の到来を感じたのである。
先生は、私塾の開設を思い立った。
私塾は、不思議と順調に発展していった。
先生は、講師型と言うよりは対話型である。
菊太郎自身も、そう言って憚らない。
弟子との対話を重ねることによって、共に成長していこうと言うのが、先生の考えであるようだ。
「恋と愛は、似て非なるものですけれど、愛には憎しみが伴いますわ。愛が表とするならば、憎しみは裏と言えるのではないでえしょうか。いずれにしろ、恋にも愛にも共通するもの、それは激情。激し過ぎるほどの情熱があると言うことですわ」
と、菊子。
菊子の人柄から出る言葉だと思えるのである。
菊子が語るには、波長が合うというのは、音楽的であり、そこには、メロデイーやリズムが意識されていると言うのである。
誠に、不思議な女性が弟子・生徒になったものである。

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ジャンル : 小説・文学

歌詞・恋する心に変わりはないの

歌詞・恋する心に変わりはないの

どうして、どうして、どうしてなのよ
恋する心に変わりはないわ
ああ、あの人が、あの人が
涙ぐむほど、好きだから
国と国との垣根を超えて
私は行くの、愛する人の待つ国へ

幸せなのよ、愛したことが
幸せなのね、愛されたこと
ああ、この広い世界で
巡り会うことさえ、不思議なくらい
満たされている、愛の深さよ

ああ、あの人が、あの人が
叫びたいほど、好きだから
国と国との垣根を超えて
私は行くの、愛する人の待つ国へ

ラ・・・ラ・・・ラ・・・
ラ・・・ラ・・・ラ・・・

愛の深さに満たされながら
愛の重さに怯える私

ラ・・・ラ・・・ラ・・・
ラ・・・ラ・・・ラ・・・

愛の深さに満たされながら
愛の重さに怯える私

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ジャンル : 小説・文学

プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




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