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短編小説・作家の書いた恋のレター7

短編小説・作家の書いた恋のレター7


                    短編小説・作家の書いた恋のレター1

                    短編小説・作家の書いた恋のレター2

                    短編小説・作家の書いた恋のレター3

                    短編小説・作家の書いた恋のレター4

                    短編小説・作家の書いた恋のレター5

                    短編小説・作家の書いた恋のレター6


正義と登美子、二人に少し間が空いたあと、再度、鉄幹の和歌を朗詠する正義。
「人の屑、我代わり得ば、今死なん、天の才なる、妻の命に」
登美子は黙って聞いた。
「人の屑とは?」
「私です。正義です」
再び問いかける登美子。
「天の才なる妻とは?」
「北白川麗子、ああ、麗子、心の妻よ」
「そう、何て言っていいのか、明星の世界ね」
悲しそうな登美子の言葉ではある。
雑誌、明星は、明治の時代、一流の女性作家、文人を育て上げ輩出した文芸誌で、これなくして明治の文壇は語れない。
与謝野晶子が、弟よ、君死に給うことなかれ、末に生まれしきみまれば・・・の詩を発表して、世間に衝撃のデビューをした
のは、明治の女性の美しさと強かさをみるのである。
「明治の時代も、そして今も、恋する心に変わりがあるとは思えません」
と、正義。
「そうよね。恋する心に時代はありませんよね。寧ろ現代の方が心の奥底では渇望するようになっているかもしれない」
登美子は、ハンカチで目頭を拭いた。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

短編小説・作家の書いた恋のレター6

短編小説・作家の書いた恋のレター6


                    短編小説・作家の書いた恋のレター1

                    短編小説・作家の書いた恋のレター2

                    短編小説・作家の書いた恋のレター3

                    短編小説・作家の書いた恋のレター4

                    短編小説・作家の書いた恋のレター5


登美子に向かって、
「こんな和歌を知っていますか?」
と正義は言い、続けて与謝野鉄幹の和歌を朗詠する。
「我が妻よ、君を守りて足らざりき、病む君を見て、悔ゆれど遅し」
段々、声が大きくなっていった。
「悔ゆる?」
「麗子さんという人は、天性の才能が、そう溢れ出る人だったのです」
「だったのです?」
それは、過去形。
首をかしげて聞く登美子。
「その事については聞かない下さい。私が言いいたいのは、その天才的な才能を、私一人の為に、無為に過ごしてしまったという事なのです」
「それが、許されたいと言うことなのですか?」
登美子のピーンと張った声が響いていく。
「そうです。私は許されたいのです」
それも愛、愛なのか。

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短編小説・作家の書いた恋のレター5

短編小説・作家の書いた恋のレター5


                    短編小説・作家の書いた恋のレター1

                    短編小説・作家の書いた恋のレター2

                    短編小説・作家の書いた恋のレター3

                    短編小説・作家の書いた恋のレター4


何時の頃からだろう、久邇登美子が正義の愛読者になったのは。
登美子とは、同じ公家の出自ではあるが、それを超えて、何と言うのか運命を感じるのである。
時々、感想文を書いて送っている。
ペン字ではあるが、書の道に優れたものがあるように見えるのである。
それは、修養されたものであろう。
さすがに公家の女であると感心せずにはせずにはいられない。
「一番、真面目に生きる者とは」
登美子に尋ねる正義。
「自身の信じる道を、真っ直ぐに生きる人だと思うわ」
「それは、唯一筋の道でしょうか」
「何処か、あなたに似た人生を歩むことよ」
そう言って、微笑む登美子。
一番真面目に生きる者。それが一番美しい。
一番美しい者が、やがて時代を作る力になる。
山岡壮八の語録である。
それは、人格の美しさだと思う正義である。
心に、宇宙大のスケールと美しい人格を持つように成った時、名作は生まれるのか?
「自分は、ほんの駆け出しでしかない」
登美子に語る正義である。
「これからよ」
「そうだね、これからだよね」
登美子は、物静かに、
「たおやかに、ただ、たおやかに」
と、言ったのである。
宮家の血筋を引くと言う久邇家のお嬢様は、何処か神秘的である。
「貴女の聡明さは、清少納言に劣ることはなく、貴女の美しさは、小野小町のようである」
登美子の耳元でささやく正義。
「あら、まあ」
登美子は、顔を真赤にして恥じらった。
少し間があいた後、登美子に向かって、
「私は許されたい。許されたいのです」
正義は叫んだ。
それは、心の叫びなのか。芝居の始まりなのか?
その声に、圧倒されながら、
「許されたい?何を許されたいのですか」
「多感なる、我が心です」
「北白川麗子さんや、私に対してですね?」
問い詰める登美子。
「それもありますが、奪ってしまった時間とか時代です」
美しい、素晴らしい青春時代を、と語りたいのであろう。
「それで、それで」
「恋する人から奪ってしまった価値ある日々」
まだ理解できない、そんな表情をする登美子。
青春時代とは、花も華(この世の華)も萌え出づる時代でもある。

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短編小説・作家の書いた恋のレター4

短編小説・作家の書いた恋のレター4


                    短編小説・作家の書いた恋のレター1

                    短編小説・作家の書いた恋のレター2

                    短編小説・作家の書いた恋のレター3


正義は答えた。
「恋文じゃないだろう。唯の作文さ」
「これが作文?嘘でょ。へたな言い訳ね」
「じゃ、そう、小説のほんの一部分ってとこかな」
聞いていて、歌子は段々腹が立って来た。
「心の中に、私以外の・・・それも愛しい人が・・・」
「そんなことはない」
「これが、恋文でないというのなら、あなたは作家とは言えないわね」
喧嘩を売る歌子。
「じゃ、作家でなければ何者なんだ」
「唯の遊び人。それも古典・万葉の世界から抜け出して来たような人よ」
「理解に苦しむ言い方だ」
苦笑いする正義に、追い打ちをかけるように、
「じゃ、私は何者なの?あなたにとって」
「う・・・ん・・・なんだろうねえ」
「やっぱり、私って・・・悔しい」
「おいおい、どうしてこうなるんだ」
「あらまあ、あなたがはっきりしないからよ」
女性の感性の鋭さは、いつの時代になっても変わらないようである。

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短編小説・作家の書いた恋のレター3

短編小説・作家の書いた恋のレター3


                    短編小説・作家の書いた恋のレター1

                    短編小説・作家の書いた恋のレター2


千原正義が愛しい人へ送った恋の文。

北白川麗子さまへ。
移ろいゆく季節は、まるで貴女と過ごした月日を重ね合わせているようです。
初春から春に駈けて、萌出ずる草花と頬をなでる風の優しさに、まるで貴女と巡り会った頃を見出します。
初夏からお盆に駆けては、白い雲と青い空と照り付ける日差しの中で、燃え上がる恋の炎にこの身を焦がしてしまった私。
やがて訪れる初秋を迎えては、カフェテラスに腰かけて貴女と語り合った日々が、何故か懐かしくてならないのです。
やがて、木枯らしの吹く季節を迎えた時、貴女は私から去って行ったのでしたね。
それは、私の人生にとって、かけがえのないアルバムの1ぺージ1ぺージのようなものです。
雪月化、憂いの中に君を知る。愛おしい人よ。別れた後になった初めて知った貴女の魅力。
ああ、叶うものならもう一度、貴女と愛に生きる日々を迎えたいと望んでいる私なのです。
千原正義より。


久我歌子が訪ねて来たのは、晩春のリラの花咲く頃である。
花の色は赤。八重咲きの香り高き君に似た花よ。
花言葉は、若き日の思い出。
高貴なる瞳に君を見た時、心は時めいてしまった。
美しき人、北白川麗子。
その久我歌子も、何処かあの人似ている共通点もある。
正義にとって、想定外の来訪であったが、快く迎えいれた。
歌子というのは本名ではない。貴子というのが本名である。和歌の世界では、歌子というのは貴婦人とも言うべき
筆名なのである。歌子も歌人には違いないが、果たして名乗る程の実力があるとは思えなかった。
歌子を書斎に案内した。
広い部屋の中を歩いている。
「ねえ、正義さん。これは何?」
机の片隅、国語辞典や広辞苑、漢語林の上に置いた手紙を見つけた。
見つめる歌子。
気まずそうに頭を掻く正義。
「まるで、万葉の昔に帰ったような文章ね」
「雅語や季節感を多く入れているから」
歌子の顔色を見る。
「違うは、まるで恋文ね。それもじれったいような」
少し嫉妬心も入ってような、そんな言い方をした。

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謹賀新年

皆様、新年あけましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。

今年も皆様の平和を願いつつ鋭意創作活動を行って行きたいと思います。

引き続き『全ては世界の平和のために』を宜しくお願い致します。

平成二十七年 元日  白浜砂夫
プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




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