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短編小説・学級委員長物語9

短編小説・学級委員長物語9


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                                 短編小説・学級委員長物語8




その頃、教頭先生はどうしていたであろう。
昼休みに、学校を抜け出して、町営病院に向かっていた。
「太陽先生、お身体の具合いは」
「ありかとうございます。わざわざ」
「顔色が良いですねえ」
「はい、おかげさまで。あの、教頭先生」
「太陽先生、実は卒業演劇についてですが」
「私も、そのことを思っていました。どうか中止にしないで下さい。あの子達だけで、立派にやり遂げてくれると思います」
「実は私も、そう思っていたのですが、何分、太陽先生の考えを聞かない事には」
「ありがとうございます。アノ子達を、信じていたいのです」
「太陽先生、良く言って下さいました」
教頭先生は、嬉しそうにほほえんだ。
何て不思議なことでしょう。これは、勢いが勢いを呼んでよんで来るようなものだ。
演劇への期待は、高まるばかりであった。
中学校に通っている佳代子の兄。同じく中学校に通っている美恵子の兄。
二人が協力を申しでて来た。真理子を加えて五人のメンバーで、脚本作りに取り掛かることになった
それに、香代子のお母さん。お母さんは、町の中心街で、着物の着付け教室を開いている。
服のリサイクルのプロでもある。
学級委員長の幸治と、雪夫に、口頭で、協力を申し出て来たのだ。
「ありがとうございます。喜んでお受けします」
「私の方こそ、幸せに思いますわ」
「色々の打ち合わせは、舞台監督と共々、してくださればありがたいです」
「はい」
幸治と雪夫は、その美しさに見とれてしまった。

一日一日が、慌ただしく過ぎていく。
授業の方は、教頭先生の名講義が、まるで水の流れるが如く、鮮やかにも、淡々として続いて行く。
「おい、幸治に雪夫」
「何だ、谷川」
谷川君は、コスモス組の学級委員長だ。
「お前たち、先生がいなくて大丈夫なのかい?」
と、谷川君。嘲りの言葉を言う。
「できるさ」
幸治は、きっぱりと言った。
「途中でやめるなんて言い出だしたら、俺、許さないからな」
谷川君も負けていない。
「ああ、大丈夫さ」そして、幸治は雪夫を促す。
「やってやろうじゃないか」
と、雪夫。
クラス全員で討議する、最終の会合が持たれた。
在校生に見せる午前の部。親、卒業生に見せる午後の部。
出演者を、別々にすることに決まった。
これは、学級委員長である幸治の思いが働いたからである。
「出来るだけ多くの者に、出演してもらいたいとおもう」
午前の部の責任者に、一郎君。午後の部の責任者に、豊君が決まった。
一郎君のグループは、理科教室を、豊君のグループは、当教室で練習することになった。
配役については、幸治と雪夫が、一郎グループ長と、豊グループ長と脚本担当で、話し合って決めるという、了解を得たのである。
部外者は、全て、香織さんのグループ、いわゆる裏方グループであるが、入って協力することも決定をみた。
そして、各々が、熱き思いと、思惑を重ねて、行動していくのである。

短編小説・学級委員長物語8

短編小説・学級委員長物語8


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                                 短編小説・学級委員長物語6


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あくる朝、職員会議が開かれた。相当紛糾したらしい。
一郎と同じ考えの先生が、多数いたからだ。
しかし、教頭先生の、結論を出すのは早計だという意見に、従うことになった。
この日は、教頭先生が、リンドウ組の授業を受け持った。
皆の思いは一緒だった。太陽先生は授業がうまかった。それで、先生は人気があった。
教頭先生もうまいと思った。教頭先生は退出するとき、こう言った。
「君たちなら大丈夫だね。そんな気がする」

あくる日、幸治は教壇に立った。そして、皆の顔を見回した。
「劇の演目は、何にしたらいいだろうか、考えを聞かせてほしい」
美恵子は立ち上って言った。
「宮沢賢治の童話が良いと思います。賢治の勉強をした私たちだから」
「私も良いと思います」
と、香織は手を上げて答えた。真理子が立った。あの、おとなしい真理子が。
「宮沢賢治の童話も良いと思いますが、これなんかどうでしょう」
と、言ってから、一つの脚本を上にかざした。それは、辰崎幸夫が書いた『あこがれ』だった。放課後、図書室に閉じこもって調べたという。
コピーをとってきちっと綴じてある。
「出演人数が十四人です。ちょうど良い数ではないでしょうか」
今日の真理子は元気がある。
「よくがんばったね」
幸治は、真理子をほめた。
「学級委員長」
「ハイ佳代子さん」
「私も美恵子さんと同じなんですが」
「どうぞ、話してください」
「宮沢賢治の飢餓陣営が良い思って」
そう言ってから、コピーを綴じて作った脚本を持ち上げた佳代子。
「ホー」
皆が、溜息をついた。
「よく頑張りましたね」
「いえ、褒めてもらうほどのことではないんです。実は中学校に通っている兄に、協力してもらったのです」
「いいえ、力を借りるということは、決して悪いことではありません。意欲がうれしいです」
幸治は、佳代子をほめた。
「でも、中学生クラスのレベルでないと、無理かもしれないと、兄が言っていました」
残念そうに言う佳代子。彼女の、ひたむきな思いが、クラスの全員にも伝わったようだ。
皆の手があがってきた。
「学級委員長」
「何ですか、柴田守君」
「創作劇にしましょうよ」
教室中がざわめいた。
「幸治君」
「何ですか、照代さん」
幸治と照代は従弟だ。
「私、思っていることがあるんです」
「どうぞ」
「私達、中学校へ行ったら、英語を学ぶでしょう」
「学びますね」
「英語に対する不安とか、また希望とかもあると思うんです。そういうことを考えた創作劇をつくったらどうでしょうか」
と、言った後、照代はイスに座った。
「私も賛成します」
と、真理子。さらに、三、四人の手が上がった。
「分かりました。創作劇にするかどうかについては、多数決で決めたいと思いますが、どうでしょうか」
「異議なし」
雪夫が答える。やがて、多数決によって、創作劇を行うことに決まった。
この日のクラス会では、総監督に幸治が、助監督に雪夫が、舞台監督に昭夫が決まった。
なお、真理子と佳代子に、創作劇について研究してもらうよう、皆から希望があった。

詩・悲しみを分けてくれるその日まで

詩・悲しみを分けてくれるその日まで

悲しみを分けてくれるその日まで
君から離れず、歩いて行きたい

君が悲しみを、何のためらいもなく
語ってくれるその日まで

君が悲しみを、一人で抱え込まないで
そっと私に分けてください

その悲しみを、私にも与えて
未来に生きる二人になろうよ

悲しみを分けてくれるその日まで
人生の支えともする、人生の励みともする、私だから
プロフィール

白浜 砂夫

Author:白浜 砂夫
どうも ”しらはますなお” です。

岐阜県大垣市在住
昭和24年1月11日生まれ
67歳
B型

好きな歌人は、女性では与謝野晶子、男性では、島崎藤村、石川啄木です。詩や和歌や小説を書き始めて20年あまりになります。鹿鳴館を舞台にした小説を書いております。63歳にして一念発起してパソコンを始めました。ブログにも初挑戦です。

最新出版物
白浜砂夫の電子書籍




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